2009年度 人間·自然環境研究科 人間環境専攻 修士課程 選択科目 欧米文化 — 1年(前期), 2年(前期)

日独比較文化論

教授・依岡 隆児

2単位

目的

互いに異質な文化や分野を結びつけ,新しい発想や見識を得ようとする比較文化の「方法」を身につけること. 近代以降日本と関係の深かったドイツ語圏と日本との文化的交流や影響関係をみながら,異文化交流や文化変容のあり方を考察すること.これからの日本の国際化や多文化的社会の実現のためのヒントを得ること.

概要

ドイツ文学ならびに比較文学をベースに,比較文化的方法で現代文化について学際的考察を試みる.文化研究のあり方自体を反省的に問いかけつつ,個別文化・個別ディシプリンを,その関係性において捉え,異なる視点から相対化しつつ,比較考察し,普遍的文化現象にアプローチしていく. 具体的には,モダニズムにおいて双方向的な影響関係があった日欧関係のなかでも,近代以降,特に日本と関係の深かったドイツ語圏と日本の文芸ジャンルにおける関係を中心に,19世紀末からの文芸雑誌や演劇の相互影響関係を比較を通して考察する.文化の影響は決して一方通行ではない.ここでは双方向的視点から文化が相互に影響しながら,それぞれの潜在する文化的要素を顕在化していくという見方を提示する.

キーワード

比較文化,異文化理解,マルチカルチャー,文化交流,グローカル

注意

日本語で書かれた文献や日本語翻訳のテキストを主として使用するので,ドイツ語履修歴は問わないが,ドイツ語履修経験があることが望ましい.

目標

1.日本とドイツ語圏との文化交流や文化的影響関係についての理解を深めること.文化を静態としてではなく,たえず他からの影響にさらされて変容をとげている動態としてとらえられるようになること.

計画

1.ガイダンス
2.序論「双方向的アプローチでみた異文化間の交感」
3.同上
4.文芸雑誌みおける日独影響関係
5.同上
6.モダニズムと日本の新劇運動との関連
7.同上
8.ハイクにおける国際交流
9.同上
10.日本近代における「情調」概念の成立と変容∼文化環境の形成にむけて
11.同上
12.近代日本における「ハイマート(故郷・郷土)」概念の成立と変容∼グローカル文化の交感
13.同上
14.まとめ,ディスカッション
15.総括

評価

出席,授業への参加状況,レポートなど,総合的に評価する.

教科書

適宜プリントを配布する.

連絡先

依岡(1308, 088-656-7143, yorioka@ias.tokushima-u.ac(no-spam).jp)
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