2009年度 総合科学部 人間社会学科 地域システムコース 学部課程 — 2年(後期)

歴史地理学研究

教授・平井 松午

2単位

目的

地理学は地表上に展開される事象や現象が研究対象となるが,こうした事象·現象は一朝一夕に成立するわけではない.そこには長期にわたる人間の営みの結果としての「土地に刻まれた歴史」が存在するのであり,歴史地理学の研究目的は,歴史的景観や歴史的空間を通じてこうした人間の営為のあり方を解明することにある.そこで本授業では,歴史的景観を分析するにあたって古地図·絵図を活用した歴史地理学的な研究手法を学ぶとともに,時代ごとに特徴的な歴史的景観を取り上げて,その具体的な研究法を提示することにしたい.

概要

歴史地理学の基本問題

キーワード

地理学,歴史地理学,古地図,歴史的景観,地理情報システム

注意

本授業科目は,教員免許取得(中学校·社会/高校·地歴)のための選択科目に指定されており,旧「歴史地理学研究Ⅰ」の読み替え科目でもある.平成20・21年度には開講しないので,注意すること.旧「歴史地理学研究II」は,平成17年度以降は開講しない.本授業では随時パワーポイントなどを使用するが,ノートの取り方は各自が工夫すること.

目標

1.絵図·資料などを用いて,歴史地理学的な研究手法を修得することを目標としている.

計画

1.歴史地理学は何を調べるのか -研究方法と課題-
2.研究資料としての絵図
3.絵図調査と絵図調査票
4.田図·開田図 -条里地割と古代の土地開発-
5.中世荘園絵図 -中世における地域図-
6.城下絵図 -徳島城下町-
7.幕藩体制と村絵図
8.歴史資料としてのアプローチ: 阿波国絵図と阿波五街道
9.絵図の地図学史的アプローチ: 阿波国絵図の年代確定
10.絵図の社会言語学的アプローチ: 葛川絵図/和泉国絵図
11.絵図の解析(1)
12.絵図の解析(2)
13.絵図の高精細画像データ: 伊能図·阿波国絵図·分間絵図
14.村絵図·国絵図のGIS分析
15.歴史データのGIS分析
16.授業のまとめ

評価

本授業は講義形式で行うが,授業中に数回行う小テストや課題,質疑応答による授業への取り組み状況などにもとづく平常点での評価と,期末試験(持ち込み不可)結果による評価を併用して行う.

再評価

教科書

授業時に必要なプリント·資料については適宜配布する.

参考書 有薗正一郎ほか編『歴史地理学調査ハンドブック』古今書院,2001年,¥2,800

連絡先

平井(2116, 088-656-7159, hirai@ias.tokushima-u.ac(no-spam).jp)
オフィスアワー: 研究室 1号館中棟1階 火·金曜日 12:00∼-13:00

備考

平成20・21年度には開講しない.