2009年度 総合科学部 人間社会学科 地域システムコース 学部課程 — 2年

歴史地理学研究II

和歌山大学・水田 義一

2単位

目的

平成12年のセンサスによれば,日本人の65%(8200万人)は国土の3.3%の市街地(DID)に居住している.今後も都市に密集して居住する傾向は続くであろう.その一方で,都市は大気汚染,水質悪化,騒音,交通渋滞など多くの問題を抱えている.これは歴史的都市を核として都市が成立し,産業革命以降の市街地の拡大に対応した都市整備が十分に行われてこなかったためである.成立期の歴史的都市と,現代都市の機能とのギャップが多くの都市問題を発生させている. そこで歴史的都市はどのような機能と住環境を備えるよう建設されてきたか,日本の古代,中世,近世の計画都市を事例として探る.適宜中国·ヨーロッパ都市との比較も行なう.次いで産業革命以降の人口の都市集中のなかで,交通機関の発達による都心への機能の集積と市街地の拡大に対応して都市整備がどのように行われてきたか,東京,和歌山などいくつかの都市の事例を紹介する.日本ではどうして都市の整備が順調に進まなかったのか,歴史的都市の整備には何が必要かを考える.

概要

都市の歴史地理

注意

歴史地理学研究I (概説,平成15年度開講)と歴史地理学研究II(特論,平成16年度開講)はそれぞれ隔年開講.ただし,平成17年度以降,歴史地理学研究IIは開講されないので,注意すること.この授業科目は教員免許取得(中学校·社会/高校·地歴)のための選択科目でもある.

目標

1.歴史的都市と新興の都市域の景観の違いを認識し,都市地域が抱える課題を歴史地理学的に考察する能力を身につける.

計画

1.1 古代の帝都のプランとその環境
2.2 中世末期の中心集落 市場と戦国城下町
3.3 計画都市の出現 寺内町
4.4 京都の城下町化 秀吉の都市改造
5.5 城下町の特色と建設プランの伝播 正方形街区と長方形街区
6.6 明治期の城下町の変質
7.7 明治以降の都市整備と都市計画

評価

授業への取り組み状況および筆記試験による.

再評価

教科書

授業は講義の概要と主な資料をプリントして配布する.

連絡先

水田(連絡先未登録)
オフィスアワー: 集中講義時.

備考

隔年開講 H19年度開講せず