生体有機化学II
准教授・金丸 芳
2単位
目的
生体が,自らを維持するための化学反応を行うには,原子を食物の形で取り入れるだけではなく,エネルギー源も必要です.原子もエネルギーも,結局は非生物界から得なければなりません.「細胞がエネルギーを必要とするのはなぜか」,また,「細胞は環境から得たエネルギーと原子をどのように用いて,生命の存続に必要な分子レベルでの秩序を作り出しているのか」について考えます.すなわち,細胞は,生物としての秩序を生み出し維持しながら生きていくためには,つねにエネルギーを取り入れる必要があります.このエネルギーは,食物分子の化学結合エネルギーから取り出されます.食物分子は,細胞にとって「燃料」の働きをしています.動物細胞内での糖の分解(異化)のおもな段階をたどり,ATPやNADHなどの分子の作られ方を見ていきます.
概要
Essential細胞生物学の第3章(エネルギー·触媒作用·生合成)と第13章(細胞が食物からエネルギーを得るしくみ)を解説
キーワード
生命,エネルギー,代謝,活性型運搬体,生合成
先行科目
目標
1. | 生命維持のための細胞の代謝について理解.触媒作用と細胞のエネルギー利用,活性型運搬体分子と生合成について理解した上で,糖と脂肪の分解によるエネルギー獲得と食物の貯蔵と利用について習得. |
計画
1. | エネルギー,触媒作用,生合成 |
2. | 生物の秩序と熱エネルギーの放出 |
3. | 触媒作用と細胞のエネルギー利用 |
4. | 太陽光と有機物とエネルギー |
5. | 酸化と還元 |
6. | 酵素 |
7. | 自由エネルギーとその変化 |
8. | 活性型運搬体と生合成 |
9. | 活性型運搬体の生成と共役反応 |
10. | 細胞が食物からエネルギーを得るしくみ |
11. | 糖と脂肪の分解 |
12. | 解糖系と発酵 |
13. | クエン酸回路 |
14. | 食物の貯蔵と利用 |
15. | まとめ |
16. | テスト |
評価
期末のテストを中心に,小テストや出席状況を加味して評価します.
再評価
行ないません.
教科書
教科書として,Essential細胞生物学(南江堂·中村桂子他訳)を使用しますので,必ず各自準備して下さい.その他,補足する場合はプリントを配布します.
連絡先
金丸(088-656-7268, kanemaru@ias.tokushima-u.ac(no-spam).jp)
- オフィスアワー: 特に設定しません.研究室は総合科学部3号館3階北棟生命科学系です.