2009年度 総合科学部 自然システム学科 生命·環境コース 生命環境サブコース 学部課程 — 3年(通年)

生命環境セミナー

教授・小山 保夫

4単位

目的

どのような卒業研究を進めるか.それを知るためには,どのような研究が行われているか,知ることが必須である.もし,すでに研究が行われていることを研究しても,それが論文として認められることは少ない.よって,卒業研究に取りかかる最初のステップとして,最近の論文を読んでみましょう.また,英語の力を付けて,レベルの高い大学院の入学試験に確実に合格できるようにします.

概要

化学物質の作用評価の論文を読んでみましょう.

注意

英語は苦労しないと上手くならないから,気持ちが悪くなるくらい読むことです.とにかく,「修行」と思って頑張ることです.三時間くらいは連続して,英語を読み続ける忍耐力が必要です.

目標

1.少なくとも何をしたら研究らしいものになるのか,論文が纏められるか,自分で考えることができる.

計画

1.(前期)1-論文を探そう.どうしたら,必要な論文を見つけることができるか.(前期)2-そして,論文の構成はどのようになっているのか.また,(前期)3-どのように英語の論文を読んでいくのか.
2.(前期)4-題目(タイトル),著者名(オーサー),研究が実施された場所(アドレス)の持っている意味を教えます.(前期)5-次に,抄録(アブストラクト)の内容の最低条件について解説します.
3.(前期)6-緒言(イントロダクション)から,この論文にどのような流れがあるのか,読み方を話します.緒言が立派でも研究内容はお粗末な論文もあります.
4.(前期)7-さぁ,実験方法(メソッド)です.ここは結果(リザルト)を読んでいく中で繰り返し見る可能性があります.どのような条件で実験が行われたのか,重要です.
5.(前期)8-結果(リザルト)を読む時のポイントを解説します.なぜ,そのような実験を行って,何を明らかにしているのか.ここが重要です.
6.(前期)9-結果(リザルト)から導き出されていることが,緒言で書かれていること沿っているか.全く関係がないことをしている可能性もあります.実験の構成をチェックしてみましょう.
7.(前期)10-結果(リザルト)に沿った考察(ディスカッション)が行われているか,考えてみましょう.(前期)11-そして,示唆,推論あるいは結論はまともなのか,引用文献(リファレンス)の内容まで含めて,話し合いましょう.(前期)12-何が不足しているか,批評しましょう.(前期)13-さぁ,自分なら,どうするか?ここを考えてみましょう.(前期)14-論文を審査することをレビューと言います.論文のレビューをしてみましょう.(前期)15-ここまでの講義を振り返り,論文をどのように評価するのか,確認しましょう.
8.(前期)16-これで論文の読み方は理解できると思います.読み方の試験をします.
9.(後期)1-および2-論文はのんびりと読んでも駄目です.必要な情報を必要なだけ取る.1-緒言から,2-方法から,何を読み取るか,訓練します.
10.(後期)3-分子レベルの作用影響評価の論文に目を通します.(後期)4-細胞レベルの作用影響評価の論文に目を通します.(後期)5-臓器レベルの作用影響評価の論文に目を通します.
11.(後期)7-英語に慣れてきたか,ここでチェックします.
12.(後期)8-および9-自分の実験の論文を書いてみよう.8-題目,著者名,研究を実施した場所,9-緒言.実験は夏休みに行います.
13.(後期)10-および11-自分の実験の論文を書いてみよう.10-緒言の続き,11-方法.
14.(後期)12-および13-自分の実験の論文を書いてみよう.12-結果,13-ここも結果.
15.(後期)14-自分の実験の論文を書いてみよう.さぁ,考察に入ります.
16.(後期)15-および16-自分の実験の論文を書いてみよう.15-考察の続き,16-引用文献,多分,間に合わないので冬休みを十分に使います.

評価

読んだ論文一つにつき十点.通年の科目ですから十篇は読んでもらいます(つまり百点を目指して勉強してもらいます).

再評価

ありません.

教科書

化学物質の環境影響評価に関する論文を国際的なジャーナルから選んでもらいます.

連絡先

小山(3N06, 088-656-7256, oyama@ias.tokushima-u.ac(no-spam).jp)
オフィスアワー: 論文の英語が理解できないときは,早め早めに質問しなさい.午前8時から午後5時までならば,特に時間は設定しません.