科学と人間
目的
現代社会において科学技術と付き合っていくために必要な,多面的な思考方法を学ぶ.
概要
現代社会,現代技術は潜在的にさまざまな「問題」を抱えているにもかかわらず,そのすべてが顕在化することなく,ある特定の領域に属するものだけが「社会問題化」する. そうした問題については,単にそれをどのように解決すべきか(リスクとどう付き合うか)ということだけでなく,なぜそれが問題とされるようになったのか(<当たり前のこと>の歴史を知る),ジレンマ的状況にどう対応すればよいか(誰のためになり,誰が困るのか)など,多面的な角度から考えなくてはならない. この授業では,現代社会におけるさまざまな問題の中から,最近大きな話題になっているものとして,「環境問題」「遺伝子組み換え食品」「生命倫理」「心の病気」というトピックを取り上げ,それぞれ数回の講義とパネルディスカッションを行う. ディスカッションには学生代表を何人か指名することがある. 毎回,講義を受けての学生の意見を収集し,翌週にコメントを返すことで,受講する学生の全員が授業に参加できるようにする.また,毎回,マークシートを利用した小テストないし課題を行い,成績評価に利用する.
キーワード
環境,遺伝子,生命倫理,科学と哲学,心理学と哲学
関連科目
注意
毎回の授業にきちんと取り組み,コメントカードへの記入や課題などをまじめにこなしてください.また,パネルディスカッションへの参加を求められたときには,前に立って自分の意見をしっかり主張するようにしてください.授業計画は,学生の理解度等を勘案して変更することがあります.
目標
1. | 現代社会の諸問題について,「リスクとどう付き合うか」「<当たり前のこと>の歴史を知る」「誰のためになり,誰が困るのか」など,複数の観点から考察する能力を身につける. |
計画
1. | イントロダクション:担当教員紹介・授業の説明・導入講義(山口) |
2. | 遺伝子組み換え食品の作り方と安全性(渡部)+パネルディスカッション |
3. | 遺伝子組み換え食品はなぜ「気持悪い」のか・日本思想から考える(桑原)+パネルディスカッション |
4. | 「自然食品愛好」の社会史(長井) |
5. | 環境中のダイオキシンのリスク(三好) |
6. | 物理学から考える環境問題(小山)+パネルディスカッション |
7. | 「江戸のエコライフ」はどこまで本当か(桑原) |
8. | 前半のまとめ:環境や食品における未知のリスクとどう付き合うか(ディスカッション) |
9. | クローン,生殖技術と倫理的問題(渡部)+パネルディスカッション |
10. | 優生思想の歴史と生物学(山口) |
11. | PTSDの発見(内海) |
12. | 行政用語としての「生活習慣病」・病気の作られ方(山口)+パネルディスカッション |
13. | PTSDの社会構築(上野加代子先生による講演) |
14. | 後半のまとめ:「当たり前のもの」の歴史を知り,「倫理的問題」についての価値判断を下す(ディスカッション)+授業についてのアンケート |
15. | 全体のまとめ:アンケート結果の報告など+学部による授業評価アンケート |
評価
授業へのコメント,課題,小テスト,授業への取り組みやディスカッションへの発言などによって総合的に評価する.なお,無断欠席や遅刻,授業中の内職・居眠りなどは減点対象.3分の1以上の欠席は不可(再履修).
再評価
行わない
教科書
授業の中で紹介します.
連絡先
- オフィスアワー: 火曜日と木曜日12:00∼13:00
- オフィスアワー: 火曜10:30-11:30