2009年度 総合科学教育部 地域科学専攻(博士前期課程) 博士前期課程 基盤科学分野(理系) — [選択] 1年(前期), 2年(前期)

物質科学特論A

教授・和田 眞

2単位

目的

近年,様々な有用かつ複雑な化合物が合成されている.そのため,数多くの精密有機合成手法が開発された.一方,現在では環境に配慮しない化学は社会に受け入れられない.そのため環境にやさしい(=環境調和適応型)化学,すなわちグリーン化学の概念が提唱され,環境に配慮することが望まれている.さらに,合成のみならず,近年では合成された化学物質を元の原料にもどす有機リサイクル反応の開発も重要である.そこで,これから進むべき有機合成化学の針路を考えられるようになることを目標とする.

概要

本講義ではグリーン化学とは何かを学び,その重要性を認識するとともに,グリーン化学を目指すために,20世紀に進歩した精密有機合成手法を学ぶと共に,その問題点を学ぶ.そして,触媒の無毒化・リサイクル,無溶媒反応,原子効率等々のグリーン化学への試みを学ぶと共に,クリックケミストリーのような有機化学に導入されつつある新概念について学ぶ.

目標

1.これから進むべき有機合成化学の針路を考えられるようになることを目標とする.

計画

1.第1回:グリーン化学とはなにか
2.第2回:20世紀の化学と21世紀型グリーン化学について-その1-
3.第3回:20世紀の化学と21世紀型グリーン化学について-その2-
4.第4回:20世紀の化学と21世紀型グリーン化学について-その3-
5.第5回:20世紀型精密合成と問題点について-その1-
6.第6回:20世紀型精密合成と問題点について-その2-
7.第7回:20世紀型精密合成と問題点について-その3-
8.第8回:20世紀型精密合成と問題点について-その4-
9.第9回:グリーン有機合成化学の開発に向けて・触媒のグリーン化-その1-
10.第10回:グリーン有機合成化学の開発に向けて・触媒のグリーン化-その2-
11.第11回:グリーン有機合成化学の開発に向けて・無溶媒化
12.第12回:グリーン有機合成化学の開発に向けて・原子効率化
13.第13回:21世紀型有機合成反応・新たな概念の導入
14.第14回:有機合成化学-過去・現在・未来
15.第15回:総括授業

評価

毎回の出席状況とレポートにより評価.

再評価

なし

教科書

野依良治ほか編 大学院有機化学I・II(東京化学同人)

参考資料

御園生 誠·村橋俊一 編「グリーンケミストリー」講談社サイエンティフィック発行

連絡先

和田(088-656-7251, wada@ias.tokushima-u.ac(no-spam).jp)