確率統計工学
Statistics for Engineering
非常勤講師・藤村 哲也
2単位
目的
確率統計工学とは,偶然性を含むさまざまな現象に対し,数学的手法を使って法則性を見つけ,その法則を基に現象を説明したり,部分的なものから全体をおしはかる学問である. 実験結果やその信頼性がどのように表現されているか,またどのように評価できるかを具体例で講義し,演習·レポートを実施して,データ解析に必要な確率統計工学の基礎知識を習得させる.
概要
実験で求める「真の値」とは何か,平均値·標準偏差など統計的に計算される諸量と具体的な測定結果の関係,実験精度の評価の仕方,精度を上げるための誤差の減らし方など,実験データを解析する際,日常的に必要な基本的内容を具体例で講義する.
キーワード
確率,統計,誤差,精度,最小二乗法,相関
要件
「機械工学実験」の履修を前提とし,「精密計測学」および「C言語演習」も履修しておくことが望ましい.
注意
実践的な講義内容にしたいので,実用を目指した受講態度が必要である.
目標
1. | 測定の目的や必要性を交え,測定値,誤差および背後にある現象について理解する. |
2. | 測定値を観察し,記述統計の基礎を理解する. |
3. | 事例を中心に,推測統計の基礎を理解する. |
計画
1. | 簡単な実験例とその整理(p.1∼p.30)・レポート |
2. | データ解析の実状(p.1∼p.30・資料配付) |
3. | 測定と誤差(p.101∼p.112・資料配付) |
4. | 誤差の基礎理論(p.113∼p.138) ・レポート |
5. | 真の値の最良推定 (p.31∼p.70・資料配付) ・レポート |
6. | 精度の最良推定(p.31∼p.70)・レポート |
7. | 真の値と精度(p.31∼p.70) |
8. | 平均値の確度(標準誤差) (p.31∼p.70)・レポート |
9. | 標準偏差の精度(p.31∼p.70)・レポート |
10. | 測定値の組合せ(p.31∼p.70)レポート |
11. | 最小二乗法の前提と原理(p.71∼p.100・資料配付) |
12. | 線形モデルでの最適パラメータの決定(p.71∼p.100)・レポート |
13. | 相関・レポート(p.71∼p.100) |
14. | もっともらしさ・信頼度・真の値(p.139∼p.162・資料配付) |
15. | まとめ(p.163∼p.173) |
16. | 定期試験 |
評価
演習やレポートが多い実践的な授業を行うので,試験50%,平常点50%とし,目標の3項目それぞれについて60%以上を合格とする. なお,平常点は,受講姿勢,演習の回答,レポートなどを総合的に評価する.
対象学生
開講コース学生のみ履修可能
教科書
酒井英行訳·N.C.BARFORD著「実験精度と誤差測定の確からしさとは何か」丸善株式会社
参考資料
(社)日本機械学会編 「計測の不確かさ」(社)日本機械学会
連絡先
備考
講義では,多量のデータを扱うため電卓が必要である. また言語の種類は問わないが,コンピュータのプログラムを作成できることが望ましい.