2010年度 工学部 化学応用工学科 昼間コース — [選択] 3年(後期)

物質合成化学演習

Exercises in Synthetic Organic Chemistry

講師・西内 優騎

1単位

目的

有機分子の合成設計手法の理解

概要

次世代の物質化学産業は低コストかつ短工程な実用的プロセスに価値を求めている.そのためには,グリーンケミストリ-の概念に基づいた戦略的な合成化学的考え方が必須となる.本講義ではその本質の一つである「逆合成解析」について解説する.作りたい分子や欲しい分子を設計して組み立てるための方法と,そこから見える現代有機化学の問題点を学ぶ.

キーワード

実用的有機化学,グリーンケミストリー,逆合成解析,合理的合成設計,均一系触媒

先行科目

有機化学2,有機化学3,有機化学4

関連科目

有機化学2,有機化学3,有機化学4

要件

専門課程で開講された「有機化学」および関連科目の履修を前提に講義,演習を行う.

目標

1.目的とする分子を逆合成解析して合成経路を立案し,実際に合成ルートを提案する能力を習得する.

計画

1.「逆合成解析」とは
2.結合の分極と電子の動き
3.結合の切断とシントン及び合成等価体について
4.潜在極性が一致する場合と一致しない場合
5.極性転換の例
6.「官能基の反応性」と「逆合成解析」の関係
7.官能基相互変換の例
8.複雑な分子の合成に効率良くアプローチするための基本指針
9.官能基選択的反応の利用法
10.位置選択的反応の利用法
11.立体選択的反応の利用法
12.不斉合成
13.保護基の活用と逆合成ルートの設計
14.分子の対称性を利用した逆合成解析
15.ファインケミカルズ合成の実際
16.期末試験

評価

小テスト及び期末試験の解答状況

JABEE関連

本学科学習・教育目標(A:○),(B:◎)に対応する.

対象学生

開講コース学生のみ履修可能

教科書

「有機合成の戦略」C. L. ウィルス著,富岡清訳,化学同人

連絡先

西内(化409, 088-656-7400, nishiuch@chem.tokushima-u.ac(no-spam).jp)

備考

「逆合成解析」は現代有機合成の基盤となる考え方.「作りたい分子をどう作るか」を考える際に,最も身近でベースとなる実際的な方法論.有機化学は暗記するものではなく,理解するものであることを知ってもらいたい.意欲ある積極的な学生の参加を求めます.随時小テストを通して問題を解く作業を行います.