2010年度 工学部 電気電子工学科 昼間コース — [選択必修(D)] 2年(後期)

量子工学基礎

Quantum Mechanics for Semiconductor Physics

准教授・西野 克志

2単位

目的

半導体材料の性質や半導体デバイスの動作原理を理解するために必要とな る半導体内の電子に関する基礎物理概念を修得する.

概要

半導体材料の性質や半導体デバイスの動作原理を理解するためには,量子力学的基礎に基づいて半導体内の電子の状態を知ることが不可欠となる.授業では,まず簡単なポテンシャル中での電子の状態をシュレディンガーの波動方程式から導き,量子力学に特徴的な現象について述べる. 次いで結晶中で電子のとりうる状態について述べた後,半導体のバンド構造について解説し,さらに量子効果の起こるような半導体構造について講義する.

キーワード

シュレディンガー方程式,エネルギーバンド,半導体,量子井戸構造

先行科目

量子力学

要件

「量子力学」を履修していることが望ましい.

注意

予習・復習を行うこと.

目標

1.シュレディンガーの波動方程式から簡単なポテンシャル中での電子のふるまいを知ることができる.(授業計画1∼4および最終試験)
2.結晶内電子のエネルギーバンドの考え方,および状態密度等これに関係する諸概念を理解する.(授業計画5∼9および最終試験)
3.半導体や基本的な半導体デバイスに関する諸概念を理解する.(授業計画10∼12および最終試験)
4.量子効果の現れるような構造を理解する.(授業計画13∼14および最終試験)

計画

1.量子力学の基礎
2.井戸型ポテンシャル中の電子
3.階段状ポテンシャルに入射する電子
4.トンネル効果・水素原子
5.状態密度
6.フェルミ·ディラックの分布関数
7.クローニッヒ·ペニーのモデル
8.結晶内における電子の運動
9.金属,半導体,絶縁体のバンド構造
10.真性半導体
11.不純物半導体
12.pn接合
13.量子井戸構造
14.超格子
15.最終試験(定期試験)
16.試験の返却および解説

評価

到達目標が達成されているかを試験75%,レポート25%で評価し,あわせて60%以上あれば合格とする.

JABEE関連

(C)工学基礎30%,(E)専門分野(物性デバイス)70%

対象学生

開講コースと同学科の夜間主コース学生も履修可能

教科書

松澤,高橋,斉藤著 「電子物性」 森北出版

参考資料

C.Kittel「固体物理学入門 上」丸善

.A.ハリソン「固体の電子構造と物性 上巻」現代工学社

P.Y.ユー 「半導体の基礎」 シュプリンガー·フェアラーク東京

連絡先

西野(E棟2階南 A-5, 088-656-7464, nishino@ee.tokushima-u.ac(no-spam).jp)