2010年度 医科学教育部 プロテオミクス医科学専攻 博士課程 — [選択] 1年(後期)

プロテオミクス医学応用入門実習

Application of proteomics to medicine

教授・松本 俊夫, 教授・足立 昭夫, 肩書不明・中堀 豊, 教授・六反 一仁

2単位

形態

実習

目的

<GIO>
プロテオミクス研究の医学への応用の理論と手法を理解し,基本的手技を習得することにより,疾患の発症機構の解明および治療法の開発に貢献し得る人材となる.
<SBO>
1. HIVの発症機構,特にHIVと宿主との蛋白質相互作用を理解する.
2. ウイルス感染によるアポトーシスの制御機構とその意義を理解する.
3. フローサイトメトリーの原理を理解し,疾患解析への応用を実践できる.
4. 遺伝子組替えの原理と手法を理解し,その基本手技を実践できる.
5. 染色体マーカー,遺伝子多型の概念を理解し,PCRなどによる解析を実践できる.
6. 疫学研究の手法を理解し,基本的な調査法や統計解析を実践できる.
7. 遺伝子の転写・発現および蛋白質の翻訳と修飾の基本を理解する.
8. DNAチップによる解析の原理を理解し,疾患関連遺伝子同定のためのバイオインフォマティックスを実践できる.

概要

プロテオミクスの研究法を用いた,病因の解析と治療法の開発を行う教育プログラムである.ゲノム(遺伝子)とプロテオーム(蛋白質)の情報を駆使して,病因の解析と治療法に結びつく標的遺伝子と蛋白質を選び出して研究する方法について実習する.

注意

生体情報内科学,ウイルス病原学,分子予防医学,ストレス制御医学の各分野の研究室において,講義および演習を行う.プロテオミクス研究の手法,考え方とその疾患へのアプローチを理解してほしい.授業は英語で行われることがある.

計画

1.HIVの分子遺伝学的解析:エイズの病因ウイルスHIVを対象に,ウイルス病の発症機構を解明しその制御法を確立するための病原と方法論を概説する.HIV蛋白質と宿主細胞蛋白質の機能的相互作用の解析を通じてウイルス学,免疫学蛋白質化学,分子遺伝学等の主要な技法を修得させる.(担当者: 足立)
2.細胞のアポトーシス制御機構に作用するウイルス蛋白の機能解析:ウイルス感染に伴うアポトーシスについて,生物学的意義ならびにその制御に関与する蛋白質相互作用を明らかにすることを目的とする.ウイルス感染細胞もしくはウイルス遺伝子を導入した形質転換細胞が示すアポトーシス誘導処理やサイトカインに対する挙動を細胞生物学的手法や生化学的手法を用いて解析する.(担当者: 〃)
3.フローサイトメトリー法による細胞の分析・分画法:フローサイトメトリー法の原理,方法とその各種実験への応用を概説し,これを用いた細胞の分析・分画採取法の実習を行う.(担当者: 松本)
4.遺伝子組み替え蛋白の発現による細胞機能解析:組み替え遺伝子をベクターに導入し,発現させた変異蛋白による細胞機能変化を捉える手法の原理と方法を概説し,その応用を含めた実習を行う.(担当者: 〃)
5.実際にヒトの材料を用いて研究している現場で,プロテオミクスの基本的手技がどのように行われているかを経験する.(担当者: 中堀)
6.遺伝疫学的な考え方にもとづいて,集団データがどのように解析されているかを経験する.(担当者: 〃)
7.ストレス応答を例に,シグナル伝達,遺伝子の活性化と転写,RNAの加工,タンパク質翻訳の機構を解明するために必要な考え方,アプローチの仕方,及び実際の研究手法を習得させる.(担当者: 六反)
8.DNAチップ解析による遺伝子発現のバイオインフォマテイクスを実際に行い,各種疾患のバイオマーカーを同定する手法を習得させる.(担当者: 〃)

評価

講義,実習における質疑応答や取り組む姿勢,理解度,実技内容により判断する.再試験は必要に応じて試行する.