2010年度 歯学部 歯学科 学部課程 — 3年(後期)

予防歯科学A 講義

Preventive Dentistry

教授・伊藤 博夫, 准教授・片岡 宏介, 助教・福井 誠, 非常勤講師・日野出 大輔

1単位

形態

講義

授業目的

歯科基礎医学の各科目の知識に基づき,口腔の健康と病的変化を理解し,自ら解説できるようになる.そして歯科の2大疾患である齲蝕症と歯周疾患を中心に,歯科疾患の病因に基づく予防と,健康の保持・増進の科学的方法論の基本を身につける.

授業概要

3年生前期までに学習した,歯科基礎医学の各科目,なかでも特に口腔解剖学,細菌学,生理学を統合化および再構成し,口腔の健康な状態を理解する.そして歯科の2大疾患である齲蝕症と歯周疾患を中心に,病的変化の特徴と,それを引き起こす要因について学習し,病因に基づく歯科疾患の予防の原理と,健康の保持・増進の科学的方法論の基本を身につける.

授業テーマ

口腔の健康の保持増進と口腔疾患の予防(病因に基づく予防法)

授業方法

講義形式 スライド,プリントなどを適宜用いる

授業場所

第3講義室

注意事項

試験は学生便覧の歯学部規則を満たしているものに対して行う.出席率が2/3以下の者,および2回以上無断欠席をした者は原則として受験を認めない.

到達目標(<>はコアカリ対応)

1.健康と疾病の概念を説明できる.<C-1-①>
2.口腔と全身の健康との関連を説明できる.<C-1-②>
3.疾病の概念,種類及び予防を概説できる.<C-1-③>
4.歯科医師法を説明できる.<C-2-1)-①>
5.第一次,第二次及び第三次予防を説明できる.<C-3-1)-①>
6.主な口腔疾患(う蝕,歯周疾患,不正咬合)の予防を説明できる.<C-3-2)-①>
7.う蝕予防におけるフッ化物の応用方法を説明できる.<C-3-2)-②>
8.口腔疾患の疫学的指標を説明できる.<C-4-1)-③>
9.ワクチンの意義と問題点を説明できる.<D-3-2)-⑦>
10.口腔の健康度やリスクを評価し,対象者に説明できる.<F-1-6)-(2)-①>
11.セルフケアを行えるように適切な動機づけができる.<F-1-6)-(2)-②>
12.適切な口腔清掃法を指導できる.<F-1-6)-(2)-③>
13.適切な食事指導(栄養指導)を実施できる.<F-1-6)-(2)-④>
14.生活習慣に関して適切に指導できる.<F-1-6)-(2)-⑤>
15.唾液の性状と役割を説明できる.<F-2-2)-④>
16.歯周疾患の病因と病態を説明できる.<F-3-2)-④>
17.口腔細菌,歯垢および歯石について説明できる.<F-3-2)-⑤>
18.う蝕の症状と診断を説明できる.<F-3-3)-(1)-①>
19.う蝕の予防と治療の方法を説明できる.<F-3-3)-(1)-②>
20.歯周疾患の症状を説明できる.<F-3-3)-(3)-①>

授業計画

大項目中項目内容担当到達目標
1.予防歯科学の基盤序論
予防歯科学の基本的概念,授業オリエンテーション
伊藤1,2,4
2.口腔の健康の基礎総論
歯科疾患の予防 予防歯学全体像のサーベイ
1,2,3,5,6
3. 〃健康と口腔環境Ⅰ
口腔の機能 (消化,味覚,発音,発語),唾液(ドライマウス,唾液成分とう蝕,唾液の緩衝作用,抗菌作用),その他の機能
2,15
4. 〃健康と口腔環境Ⅱ
歯面への沈着物(歯垢,歯石,着色性沈着物,その他の沈着物),口腔常在細菌叢
6,17
5. 〃歯・口腔環境の保全と健康
ワークショップ(問題の発見,気付き):あなたはなぜ歯を磨く
伊藤,福井2,6,11
6.口腔疾患の予防う蝕予防Ⅰ
う蝕成因説,う蝕の発生機序,う蝕と微生物
伊藤6,18,19
7. 〃う蝕予防Ⅱ
う蝕の疫学的特徴,う蝕活動性,う蝕予防法
6,8
8. 〃う蝕予防Ⅲ
う蝕予防と食生活,代用糖,栄養
日野出6,13,14
9. 〃う蝕予防Ⅳ
フッ素とう蝕予防
フッ素(自然界,代謝,測定法),う蝕予防のメカニズム,フッ化物によるう蝕予防法,フッ素の毒性,歯のフッ素症
片岡6,7,19
10. 〃う蝕予防Ⅴ
シーラント,キシリトール,再石灰化ほか
6,19
11. 〃歯周疾患とその予防Ⅰ
分類,発生のメカニズム,歯周病と微生物,病原性細菌と病原因子,歯周組織の免疫応答
伊藤6,16,20
12. 〃歯周疾患とその予防Ⅱ
歯周疾患の疫学指標(歯周ポケット,アタッチメントレベル,歯肉出血),疫学的特徴
6,8,16
13. 〃歯周疾患とその予防Ⅲ
口腔細菌の歯周病原性
片岡6,16,17
14. 〃ワクチンによる予防
粘膜免疫学,経口経鼻ワクチン
6,9
15. 〃 地域歯科保健概論
母子歯科保健,学校歯科保健,産業歯科保健,成人・高齢者歯科保健,歯科公衆衛生学
伊藤3,5,6
16.試験

成績評価の方法

全授業の終了後,筆記試験を行う.筆記試験の得点が満点の60%以上の者を合格とするが,出席実績および授業中で出すレポート課題等の提出実績と内容を総合的に評価した日常点を加味して最終成績とし,これが60%以上であれば筆記試験60%未満でも合格とする.

再試験

実施しない.不合格者は原則的に翌年の授業を再受講した上で本試験を受験する.

教科書,プリント,参考書

教科書は指定はしないが,下記に紹介する教科書などから自分の好みに合う1冊を購入することを強く勧める.また,下に示す参考書など,できるだけ多くの関連書ならびに雑誌を参考にするとよい.

教科書:新予防歯科学 第3版(上・下),医歯薬出版,2003

教科書:新口腔保健学 第1版,医歯薬出版,2009

教科書:臨床家のための口腔衛生学 改定4版,永末書店,2009

参考書:予防歯科実践ハンドブック,医歯薬出版,2004

教科書:実践予防歯科 医歯薬出版,1999

参考書:国民衛生の動向,厚生統計協会,2009

参考書:歯科保健指導関係資料,口腔保健協会,2009

参考書:解説歯科疾患実態調査,口腔保健協会,2007

参考書:スタンダード社会歯科学 第3版,石井拓男ほか編,学建書院,2008

連絡先

伊藤(088-633-7336, itohiro@dent.tokushima-u.ac(no-spam).jp)
オフィスアワー: (月・水・金16:00∼17:00/5F 予防歯学・教授室)
片岡(予防歯学, 088-633-7337, kataoka@dent.tokushima-u.ac(no-spam).jp)
オフィスアワー: (月∼木16:00~17:00/5F 予防歯学・第1研究室)
福井(088-633-7337, fmakoto@dent.tokushima-u.ac(no-spam).jp)
オフィスアワー: (月∼金17:00~18:00/5F 予防歯学・第1研究室)