予防歯科学B 講義
Preventive Dentistry
形態
講義
授業目的
疫学を理解し,科学的根拠に基づいた歯科疾患の予防と口腔の健康増進の実践技法を解説できるようになる.集団を対象とした場合(地域保健活動)と個人を対象とした場合(歯科臨床)の相違点と共通点を説明できるようになる.
授業概要
3年次後期に行った予防歯科学Aと衛生学の学習成果に基き,人々が能動的に口腔の健康を保持・増進するための,歯科医師による支援・指導の理論と技法を理解する.集団あるいは個人を対象とした口腔健康管理を実践・指導できるようになる. 疫学を理解し,最新の科学的根拠を疾患予防に適用させる方法を学習する.
授業テーマ
口腔の健康の保持増進と口腔疾患の予防(公衆衛生学的観点を中心に)
授業方法
講義形式 スライド,プリントなどを適宜用いる
授業場所
第4講義室
注意事項
試験は学生便覧の歯学部規則を満たしているものに対して行う.ただし出席率が2/3以下の者,および無断欠席を2回以上した者は原則として受験を認めない.
到達目標(<>はコアカリ対応)
1. | 口腔と全身の健康との関連を説明できる. | <C-1-②> |
2. | プロフェッショナル・ケア,セルフ・ケア及びコミュニティ・ケアを説明できる | <C-3-1)-②> |
3. | 主な口腔疾患(う蝕,歯周疾患,不正咬合)の予防を説明できる.(予防塞,プラークコントロールを含む) | <C-3-2)-①> |
4. | ライフステージにおける予防を説明できる. | <C-3-2)-③> |
5. | 集団レベルの予防と健康管理(地域歯科保健,学校歯科保健,産業歯科保健)を説明できる. | <C-3-2)-④> |
6. | 疫学とEBMの概念を説明できる. | <C-4-1)-①> |
7. | 口腔疾患の疫学的指標を説明できる. | <C-4-1)-③> |
8. | 主な保健医療統計(人口動態・生態統計,患者調査,医療施設調査,医師・歯科医師・薬剤師調査,歯科疾患実態調査,学校保健統計調査)を説明できる | <C-4-2)-①> |
9. | 口腔の健康やリスクを評価し,対象者に説明できる | <F-1-6)-(2)-①> |
10. | セルフケアを行えるように適切な動機づけができる | <F-1-6)-(2)-②> |
11. | 適切な口腔清掃法を指導できる | <F-1-6)-(2)-③> |
12. | 適切な食事指導(栄養指導)を実施できる | <F-1-6)-(2)-④> |
13. | 生活習慣に関して適切に指導できる | <F-1-6)-(2)-⑤> |
14. | 歯性感染症の原因菌と感染経路を説明できる. | <F-2-4)-(2)-②> |
15. | 口臭の原因と診断及びその予防について説明できる | |
16. | 保健医療における国際協力について説明できる | |
17. | スクリーニング検査を説明できる | C-4-1)-② |
18. | 調査方法と統計的分析法を説明できる | C-4-2)-③ |
授業計画
回 | 大項目 | 中項目 | 内容 | 担当 | 到達目標 |
---|---|---|---|---|---|
1. | 予防歯科学B序論 | オリエンテーション | 予防歯科学Bの目標,予防歯科学Aの学習事項の確認 | 伊藤 | 2,3,4,9 |
2. | プラークコントロールⅠ | 物理的なコントロール | 口腔清掃の種類,清掃用具,種々のブラッシング法,セルフケア,プロフェッショナルケア | 〃 | 2,3,10,11 |
3. | プラークコントロールⅡ | 非物理的コントロール | 化学的コントロール,生物学的コントロール,歯磨剤と成分 | 〃 | 2,3 |
4. | 口腔疾患の予防 | 臨床における齲蝕予防法 | シーラント,フッ化物局所応用,齲蝕活動性試験 | 片岡 | 2,3,9,10 |
5. | 〃 | 臨床における歯周病予防法 | 歯周炎,歯肉炎,歯周基本治療,SPT,禁煙指導 | 〃 | 〃 |
6. | 歯・口腔の健康診断 | 検診と事後措置 | 歯科検診の種類,方法,検診項目,スクリーニングレベル,事後措置,指導,主な歯科関連医療統計 | 福井 | 5,6,10 |
7. | 口腔の健康管理 | 口臭の原因・治療・予防 | 口臭の分類,原因物質,診断 | 〃 | 3,15 |
8. | 〃 | 栄養・食生活と口腔の健康 | 食事摂取基準,栄養調査,食事記録法,栄養指導 | 酒井 | 12,13 |
9. | 〃 | 口腔と全身の健康の関係 | 歯周病の宿主免疫応答,歯性病巣感染,感染性心内膜炎,脳心臓血管疾患,メタボリックシンドローム,早産未熟児,糖尿病,骨粗鬆症 | 伊藤 | 1,14 |
10. | 疫学とEBD | 1. 疫学の概念 | 疫学の定義,目的,対象,方法,疾病の分類,疾病発生の多要因説,宿主要因,病原要因,環境要因,疫学モデル | 〃 | 6;7,17,18 |
11. | 〃 | 2. 疫学研究の方法 | 対象の選定と調査,標本の抽出,記述疫学,分析疫学,実験疫学 | 〃 | 〃 |
12. | 〃 | 3. 疫学指標と 臨床疫学 | 疫学指標の所要用件,代表値,分散度,分布,比と比率 4)Evidence-Based Medicine(EBM) の考え方,オッズ比,相対危険度,寄与危険度,因果関係の判定,交絡,有意性 | 〃 | 〃 |
13. | 歯科公衆衛生活動 | 国際歯科保健(特別講義) | 国際保健医療協力と歯科保健,発展途上国援助活動の実際 | 滝波 | 16 |
14. | 〃 | 地域歯科保健の推進1(特別講義) | 健康日本21,その他 | 中垣 | 5 |
15. | 〃 | 地域歯科保健の推進2(特別講義) | 〃 | 〃 | 〃 |
16. | 修了試験 | 下記 | 下記 |
成績評価の方法
全授業の終了後,筆記試験を行う.筆記試験の得点が満点の60%以上の者を合格とするが,出席実績および授業中で出すレポート課題等の提出実績と内容を総合的に評価した日常点を加味して最終成績とし,これが60%以上であれば筆記試験60%未満でも合格とする.
再試験
一度だけ実施する.再試の評価に日常点は加味されない.
教科書,プリント,参考書
教科書の指定はしないが,下記に紹介する教科書などから自分の好みに合う1冊を購入することを強く勧める.また,下に示す参考書など,できるだけ多くの関連書ならびに雑誌を参考にするとよい.
教科書:新予防歯科学 第3版(上・下),医歯薬出版,2003
教科書:新口腔保健学 第1版,医歯薬出版,2009
教科書:臨床家のための口腔衛生学 改定4版,永末書店,2009
参考書:数字に弱いあなたの驚くほど危険な生活,ゲルト・ギーゲレンツァー著,早川書房 1,900円
参考書:予防歯科実践ハンドブック,医歯薬出版,2004
教科書:実践予防歯科 医歯薬出版,1999
参考書:国民衛生の動向,厚生統計協会,2009
参考書:歯科保健指導関係資料,口腔保健協会,2009
参考書:解説歯科疾患実態調査,口腔保健協会,2007
参考書:スタンダード社会歯科学 第3版,石井拓男ほか編,学建書院,2008
WEBページ
連絡先
- オフィスアワー: (月・水・金16:00∼17:00/5F 予防歯学・教授室)
- オフィスアワー: (月∼木16:00∼17:00/5F 予防歯学・第1研究室)
- オフィスアワー: (月∼金17:00∼18:00/5F 予防歯学・第1研究室)