2010年度 薬学部 薬学科 学部課程 薬学科 — [必修] 2年(後期)

2010年度 薬学部 創製薬科学科 学部課程 創製薬科学科 — [必修] 2年(後期)

医薬品開発論3

Drug Development 3

教授・伊藤 孝司, 教授・土屋 浩一郎

1単位

形態

講義

目的

医薬品開発は科学技術の進展と共に,創薬の方法も天然物からの薬理活性物質の探索からヒトゲノム情報を利用した分子医学に基づくものへと急速に変遷している.また医薬品開発において,医薬品の真の薬効をヒトで評価するためには治験の概念を理解する能力が求められる.そこで本講では,『1.遺伝子疾患としてのがんとその発症メカニズム』として,医薬品開発における重要な対象疾患である「がん」を取り上げ,遺伝子疾患としての「がん」の発症メカニズムとその治療法に関する基本的知識を修得する.また『2.治験』では医薬品開発において治験がどのように行われるかに関する基本的知識とそれを実施する上で求められる適切な態度を修得する.さらに『3.分子標的治療薬』では,近年開発が進められている分子標的治療薬の種類と特徴について,基本的知識を身につける.

カリキュラム関連

薬学モデル・コアカリキュラムC-17-(5) に相当

注意

遺伝子疾患の代表例である「がん」の発症の分子メカニズムとその治療法に関して理解し,抗がん剤をはじめ,今後の医薬品開発に対する視点を養ってほしいと思います.また近年,治験コーディネーター(CRC)が薬剤師の専門職として認知されつつあることから,治験に関わる項目(新GCP,臨床統計学)を理解することは薬剤師の職能の向上につながるものと思います.また,創薬に関しても,薬がどのように評価されるかを知ることは意味があると考えます.

目標

1.バイオ医薬品とゲノム医療
  1. 正常細胞とがん細胞の性質の違いについて説明できる.
  2. がん原遺伝子とがん遺伝子との違いについて説明できる.
  3. 真核細胞の細胞周期の制御機構と調節因子について概説できる.
  4. がん抑制遺伝子について説明できる.
  5. 多段階発がん機構について説明できる.
  6. 代表的ながんの治療法の原理について概説できる.
2.治験
  1. 【治験の意義と業務】
    治験に関してヘルシンキ宣言が意図するところを説明できる.
    医薬品創製における治験の役割を説明できる.
    治験(第Ⅰ,Ⅱ,およびⅢ相)の内容を説明できる.
    公正な治験の推進を確保するための制度を説明できる.
    治験業務に携わる各組織の役割と責任を概説できる.
  2. 【治験における薬剤師の役割】
    治験における薬剤師の役割(治験薬管理者など)を説明できる.
    治験コーディネーターの業務と責任を説明できる.
    治験に際し,被験者に説明すべき項目を列挙できる.
3.分子標的治療薬
  1. 分子標的治療薬の特徴について説明できる.
  2. 分子標的治療薬の種類について列挙できる.

計画

1.良性腫瘍と悪性腫瘍,正常細胞とがん細胞の性質の違い
2.がん遺伝子とがん原伝子
3.遺伝性腫瘍とがん抑制遺伝子
4.多段階発ガン機構
5.治験:医薬品開発の現状
6.治験:臨床試験と治験
7.治験:開発フェーズ
8.治験:治験関連業務
9.治験:サンプルサイズ設計
10.治験:ブリッジングについて
11.治験:抗悪性腫瘍薬の治験
12.分子標的治療医薬:分子標的治療薬の特徴について1
13.分子標的治療医薬:分子標的治療薬の特徴について2
14.分子標的治療医薬:分子標的治療薬の種類について1
15.分子標的治療医薬:分子標的治療薬の種類について2
16.定期試験

評価

(出席および)試験で評価する.

再評価

実施する.

連絡先

伊藤(薬科学教育部附属医薬創製教育研究センター2階・創薬生命工学分野教授室, 088-633-7290, kitoh@ph.tokushima-u.ac(no-spam).jp)
オフィスアワー: 質問等はEメールで受け付け,必要があれば面談します.
土屋(薬物機能制御学講座, 088-633-7250, tsuchiya@ph.tokushima-u.ac(no-spam).jp)
オフィスアワー: 特に設けていませんが,Eメールで連絡頂ければ調整します.