2010年度 歯学部 歯学科 学部課程 — 4年(前期)

口腔外科学(1)(口腔内科)AB 講義

Oral and Maxillofacial Surgery(Oral Medicine)

教授・東 雅之, 講師・松本 文博, 講師・桃田 幸弘, 助教・茂木 勝美

2単位

形態

講義

授業目的

超高齢化社会を迎え,様々な全身疾患や複雑な社会的背景を持つ患者が急速に増加している.本授業はこの様な現状に対応するための教育を担当する.すなわち,歯科医師が日常診療を行うために必要な基本的態度・技能・知識を養成することを目的とする.また,口腔に現れる様々な病変および疾患を全身との関連において診る能力と習慣を養うことも目的とする.

授業概要

患者との接し方,情報収集の仕方,局所症状の診方,全身状態の捉え方および臨床検査などの診断の進め方について基本的知識・技術・態度を理解する.また,自然治癒力の促進と薬物療法の基本を理解するとともに,口腔病変と全身状態の関連性についても理解する.

授業テーマ

医療面接のありかた,診断の進め方,診療録のまとめ方.顎・顔面領域に生じる疾患に対する口腔内科的治療.

授業方法

講義形式 プリント,スライド,ビデオを適宜用いる

授業場所

第4講義室

注意事項

試験は全講義数2/3以上の出席を満たしている者に対して行う.

到達目標(<>はコアカリ対応)

1.安全への配慮と事故防止策について説明できる.
2.感染防止とスタンダードプリコーションについて説明できる.
3.医療面接の役割を説明できる.B-2-2)
4.身体的・精神的・社会的苦痛に配慮し,問題点を抽出,整理できる.B-2-2)
5.診断結果と治療方針を適切に説明できる.B-2-2)
6.患者のプライバシーに配慮できる.B-2-2)
7.守秘義務と情報提供の重要性を理解し,適切な取り扱いができる.B-2-2)
8.清潔と不潔の区分及び滅菌と消毒の意義,原理及び代表的な方法を説明できる.D-3-1)-③
9.炎症の定義を説明できる.D-4-4)-①
10.炎症の分類,病理組織学的変化及び経時的変化を説明できる.D-4-4)-②
11.炎症の原因別分類と病因特異性組織変化を説明できる.D-4-4)-③
12.薬物療法(原因療法,対症療法)を説明できる.D-5-2)-①
13.薬物の作用機序を説明できる.D-5-2)-②
14.薬理作用を規定する要因(用量と反応,感受性)を説明できる.D-5-2)-③
15.薬理作用を規定する要因を説明できる.D-5-2)-④
16.薬物の連用の影響(薬物耐性,蓄積及び薬物依存)を説明できる.D-5-2)-⑤
17.薬物の併用(協力作用,拮抗作用,相互作用)を説明できる.D-5-2)-⑥
18.抗癌剤を分類し,作用機序の概略と副作用を説明できる.
19.薬物の一般的副作用・有害作用と口腔・顎顔面領域に現れる副作用・有害作用を説明できる.D-5-4)-①
20.診察,検査および診断に必要な事項を列挙できる.F-1-1)
21.主訴を的確に捉えることができる.F-1-1)
22.的確に病歴を聴取し,要点を抽出できる.F-1-1)
23.問診,視診,触診および打診などによって現症を的確に把握できる.F-1-1)
24.診査所見から必要な検査を想定できる.F-1-1)
25.患者の心理と行動を理解し,配慮できる.F-1-1)
26.インフォームドコンセントを行うことができる.F-1-1)
27.必要に応じて医科に対診できる.F-1-1)
28.医療情報を他の医療機関に提供または求めることができる.F-1-1)
29.処方と処方箋の作成方法を説明できる.F-1-1)
30.歯科治療と全身疾患との関連性を理解し,説明できる.F-1-1)-②
31.診査所見と検査所見を適切に診療録に記載できる.F-1-1)-⑩
32.臨床検査の基準値を知り,異常値の重要性を説明できる.F-1-1)-⑮
33.歯科治療中の全身状態に影響を及ぼす疾患を説明できる.F-1-3)-(1)-⑤
34.歯科治療時に留意すべき服用薬物を説明できる.F-1-3)-(1)-⑥
35.小児,妊娠および高齢者への薬物適用上の注意を説明できる.F-1-3)-(1)-⑦
36.全身疾患を有する患者への薬物適用上の注意を説明できる.F-1-3)-(1)-⑧
37.口腔の健康度やリスクを評価し,対象者に説明できる.F-1-6)-(2)①
38.セルフケアを行えるように適切な動機づけができる.F-1-6)-(2)②
39.適切な口腔清掃法を指導できる.F-1-6)-(2)③
40.適切な食事指導(栄養指導)を実施できるF-1-6)-(2)④
41.生活習慣に関して適切に指導できる.F-1-6)-(2)⑤
42.咀嚼の意義と制御機構を説明できる.F-2-2)-⑥
43.疾患に伴う身体的·精神的問題を包括的に把握できる.
44.身体的·精神的問題を社会生活まで含めて包括的に支援できる.
45.疼痛緩和治療に関連した薬物を理解し,説明できる.
46.疼痛緩和治療の実際を理解し,説明できる.
47.歯性感染症の原因菌と感染経路を説明できる.F-2-4)-(2)②
48.急性炎症と慢性炎症の異同を説明できる.F-2-4)-(2)③
49.炎症の診断に必要な検査法を説明できる.F-2-4)-(2)④
50.口腔·顎顔面領域の特異性炎の種類と特徴を説明できる.F-2-4)-(2)⑤
51.菌血症および歯性病巣感染の病態を説明できる.F-2-4)-(2)⑥
52.一般的な消炎療法の意義と特徴を説明できる.F-2-4)-(2)⑦
53.主な炎症を概説できる.F-2-4)-(2)⑧
54.歯性病巣感染の成立機序,症状,検査法および治療法を説明できる.F-2-4)-(2)⑩
55.消炎手術を概説できる.F-2-4)-(2)⑪
56.軟組織に発生する嚢胞の種類と特徴を列挙できる.F-2-4)-(3)③
57.口腔・顎顔面領域に発生する嚢胞の一般的な症状,診断法および治療法を概説できる.F-2-4)-(3)④
58.口腔·顎顔面領域に症状を現す感染症の種類と症状を列挙できる.F-2-4)-(7)②
59.口腔・顎顔面領域に症状を現すアレルギー性疾患,膠原病,免疫不全とそれらの症状を列挙できる.F-2-4)-(7)③
60.口腔・顎顔面領域に症状を現す全身的な腫瘍と腫瘍類似疾患およびその症状を列挙できる.F-2-4)-(7)④
61.口腔・顎顔面領域に症状を現す症候群の種類と症状を列挙できる.F-2-4)-(7)⑤
62.口腔・顎顔面領域に症状を現す系統的骨疾患の症状,診断および治療法を列挙できる.F-2-4)-(7)⑥
63.口腔·顎顔面領域に症状を現す薬物の副作用を列挙できる.F-2-4)-(7)⑦
64.口腔·顎顔面領域に症状を現す代謝障害と症状を列挙できる.F-2-4)-(7)⑧
65.口腔·顎顔面領域に症状を現すビタミン欠乏症と症状を列挙できる.F-2-4)-(7)⑨
66.ヒト免疫不全ウイルス感染症の症状と検査法を説明できる.F-2-4)-(7)⑩
67.咬合異常と咀嚼障害の原因と診察,検査,診断および治療方針を説明できる.F-2-4)-(8)①
68.嚥下障害を概説できる.F-2-4)-(8)②
69.味覚障害を概説できる.F-2-4)-(8)④
70.要介護高齢者の歯科治療を説明できる.F-4-3)⑥
71.摂食·嚥下リハビリテーションを説明できる.F-4-3)⑦

授業計画

項目内容担当到達目標
1.口腔内科診断法
医療面接と診察方法
3, 4, 5, 20, 21, 22, 23, 25, 37
2.同上
検査方法,生体機能検査,口腔・顎機能の検査など
20, 24, 32
3. 〃
安全への配慮と事故防止策,
1, 2, 8, 26, 68
4. 〃
診療録・処方箋・紹介状の作成
6, 7, 27, 28, 29, 31
5.口腔と全身の関連
循環器疾患と歯科治療
松本30, 33, 34, 65
6.同上
呼吸器疾患と歯科治療
7. 〃
消化器疾患と歯科治療
8. 〃
代謝性疾患と歯科治療
30, 33, 34, 66
9. 〃
腎・泌尿器疾患と歯科治療
桃田30, 33, 34, 65
10. 〃
妊娠と歯科治療
茂木30, 33, 34, 35, 65
11. 〃
免疫・アレルギーと歯科治療
松本30, 33, 34, 61, 65, 68
12. 〃
感染症と院内感染
茂木30, 33, 34, 60, 65, 66, 68
13.同上(口腔から全身へ)
誤嚥性肺炎,睡眠時無呼吸症候群,歯性病巣感染
桃田37, 54
14.同上
摂食・嚥下障害,要介護者の口腔管理,口腔ケア
37, 38, 39, 40, 41, 42, 43, 44, 69, 70, 72, 73
15-18. 〃
緩和ケア
茂木37, 43, 44, 45, 46
19.同上(全身から口腔へ)
口腔に症状を現す全身疾患,糖尿病と歯性感染症,味覚障害
松本62, 63, 64, 66, 67, 71
20.同上
口腔に症状を現す骨系統疾患・症候群
21.歯科薬物療法
薬物療法総論,抗菌薬,ステロイド,鎮痛薬
茂木12, 13, 14, 15, 16, 17, 19, 25, 35, 36, 52, 65
22.同上
癌化学療法総論
18, 19, 25, 28, 65
23. 〃
癌化学療法各論
24.悪性腫瘍その他の治療
免疫療法,温熱療法,光線力学療法
25.顎口腔の炎症とアレルギー
炎症総論,アレルギー総論
桃田9, 10, 11, 48, 49, 53
26-27.同上
歯性感染症
47, 51, 54, 55, 60
28. 〃
特異性炎
50
29.顎口腔の嚢胞
軟組織の嚢胞
58, 59
30.講義総括
国家試験対策

成績評価の方法

評価は筆記試験により行い,6割以上の得点を有する者を合格とする.

再試験

実施する.

教科書,プリント,参考書

1)宮崎 正編:口腔外科学,医歯薬出版,第2版,2000年

2)尾崎登喜雄編:口腔内科学,飛鳥出版,2008年

連絡先

東(088-633-7351, azumasa@dent.tokushima-u.ac(no-spam).jp)
オフィスアワー: 月∼金 16:15~17:15/4F 口腔内科・第1研究室
松本(088-633-7352, fumihiro@dentclin.tokushima-u.ac(no-spam).jp)
オフィスアワー: 月∼金 16:15~17:15/4F 口腔内科・第1研究室
桃田(088-633-7352, momota@dent.tokushima-u.ac(no-spam).jp)
オフィスアワー: 月∼金 16:15~17:15/4F 口腔内科・第1研究室
茂木(088-633-7354, kmotegi@dent.tokushima-u.ac(no-spam).jp)
オフィスアワー: 月∼金 16:15~17:15/4F 口腔内科・第1研究室