2010年度 医学部 医学科 学部課程 — 3年(前期, 後期)

基礎医学(2) / 病理学・病理学実習

准教授・工藤 英治

目的

1. 基本的病変の成立機序と病態形成過程に関する基本的知識を習得する.
2. 基本的病変の形態学的な特徴を学び,臨床的所見との対応から病態を解析する能力を身につける.
3. 形態診断に必要な基礎的知識を習得する.

概要

病理学は疾患の成立機序,病態形成過程の解明を目指す学問であるとともに,病理診断を通じて医療に深く関与している.疾患の本態を理解するには病理学の知識は欠かすことができない.
「病理学」においては,基本的病変の成り立ちと形態学的特徴に関する基礎的事項を習得し,さらに病理診断に必要な手法などを学ぶ.また,最先端の医学研究にも用いられる分子病理学や疾患モデルについても触れる.

授業方法

講義:板書,スライド,プリント

実習:標本プレパラート観察(カラープリント配布,TV モニターによる説明),病理解剖見学

目標

1.臓器,細胞の正常像と異常像を比較できる.
2.臨床像と病理学的所見を対応させることの意義を説明できる.
3.顕微鏡を操作し,標本の観察ができる.
4.炎症の意味,種類,代表的疾患を述べることができる.
5.循環障害に基づく病変の種類,具体例を述べることができる.
6.免疫異常による疾患の病理学的所見を述べることができる.
7.遺伝性疾患の概略と代表的疾患について説明できる.
8.細胞診の目的,意義について説明できる.
9.内分泌,血液,骨軟部,皮膚感覚器の病気について病因,発症機構,形態所見を説明することができる.

計画

大項目中項目内容
1.病理学総論病理学概論
病理の役割,病理解剖
2. 〃炎症
概念,種類,関連細胞,組織変化,関連因子
3. 〃循環障害
概念,種類,虚血,梗塞,動脈硬化
4. 〃免疫異常
アレルギー,膠原病
5. 〃細胞診総論
概論,方法
6.病理学各論内分泌
下垂体,甲状腺,副腎,膵内分泌
7. 〃骨軟部
骨,軟部,筋肉の腫瘍性,非腫瘍性疾患
8. 〃皮膚感覚器
皮膚,眼,鼻,耳,咽頭,喉頭の疾患
9. 〃血液
血液,リンパ腫

評価

1. 講義時間内の小テスト, 2. 実習スケッチ提出, 3. 試験

教科書

特に指定はないが,以下の教科書・参考書を勧めている.

病態病理学(吉木敬他編,南山堂),標準病理学(町並睦生他編,医学書院),Pathologic Basis of Disease(Saunders Co,),病理組織の見方と鑑別診断(赤木忠厚他編,医歯薬出版),組織病理アトラス(小池盛雄他編,文光堂)

連絡先

工藤(kudo@basic.med.tokushima-u.ac(no-spam).jp)

備考

病理総論の担当者は工藤英治准教授,内外の各分野の専門の非常勤講師等である.