2010年度 薬学部 薬学科 学部課程 薬学科 — [必修] 1年(前期)

2010年度 薬学部 創製薬科学科 学部課程 創製薬科学科 — [必修] 1年(前期)

基礎医療薬学1

Basic Clinical Pharmacy 1

教授・際田 弘志

1単位

形態

講義

目的

作用部位に到達した薬物の量と作用により薬効が決まることを理解するために,薬物の生体内における動きと作用に関する基礎知識を修得する.また,薬学を学ぶ上で必要な基本用語を理解する.

概要

投与された薬物が体内に入り循環して薬効を発現する部位に至り,薬効を発現するまでのプロセスについて基本的な事項を解説する.また,薬物間相互作用や副作用など目的以外の事象の発現に関しても論説する.

カリキュラム関連

薬学モデル・コアカリキュラムC13-(1) に相当

注意

必ず復習をすること.

目標

1.薬の運命
  1. 薬物の体内動態(吸収,分布,代謝,排泄)と薬効発現の関わりについて説明できる.
  2. 薬物の代表的な投与方法(剤形,投与経路)を列挙し,その意義を説明できる.
  3. 経口投与された製剤が吸収されるまでに受ける変化(崩壊,分散,溶解など)を説明できる.
  4. 薬物の生体内分布における循環系の重要性を説明できる.
  5. 生体内の薬物の主要な排泄経路を,例を挙げて説明できる.
  6. バイオアベイラビリティーの意味と意義を説明できる.
  7. 薬物の体内動態の薬物速度論的解析の有用性について説明できる.
2.薬の作用
  1. 薬物の用量と作用の関係を説明できる.
  2. アゴニストとアンタゴニストについて説明できる.
  3. 薬物の作用するしくみについて,受容体,酵素およびチャネルを例に挙げて説明できる.
  4. 代表的な薬物受容体を列挙し,刺激あるいは阻害された場合の生理反応を説明できる.
  5. 薬物の作用発現に関連する代表的な細胞内情報伝達系を列挙し,活性化された場合の生理反応を説明できる.
  6. 薬効に個人差が生じる要因を列挙できる.
  7. 薬物依存性について具体例を挙げて説明できる.
3.薬の副作用等
  1. 作用と副作用(有害作用),毒性との関連について説明できる.
  2. 副作用と有害事象の違いについて説明できる.
  3. 代表的な薬物相互作用の機序について説明できる.
4.上記の薬学モデル・コアカリキュラムC13-(1)に示された以外の到達目標は毎回の講義の初めに示す.

計画

1.序論
  • 講義の目的と大まかな構成を説明し,薬学における薬剤学・薬理学の位置づけについて説明する.
2.薬とは
  • 薬の歴史,薬と法律,薬の定義,薬の種類などについて概説する.
3.日本薬局方
  • 日本薬局方の意義,沿革,構成等について説明し,今後の学習での使用法などについて説明する.
4.体の仕組み
  • 生命維持,薬物の体内動態,病態と薬の観点から,生体の構造と機能について解説する.
5.製剤とバイオアベイラビリティー
  • 製剤の意義,製剤の種類および製剤の有効性の定量的評価指標であるバイオアベイラビリティーについて解説する.
6.薬の吸収と分布
  • 薬物の吸収過程,分布過程における種々の要因について解説する.
7.薬の消失過程
  • 代謝・排泄など薬物が体内から消失する過程について解説する.
8.薬の作用点
  • 受容体,酵素,イオンチャンネル等の薬物が作用する生体側の因子について解説する.
9.薬の作用
  • 局所作用・全身作用,拮抗作用・協力作用等の薬の作用の様式について解説する.
10.薬効と薬用量
  • 用量/反応曲線等,薬用量と薬効強度との関係について説明する.
11.薬の副作用
  • 薬の副作用,有害作用等,薬物の好ましくない作用について解説する.
12.薬物体内動態の定量的取り扱い
  • 薬物の体内動態を速度論的に解析する薬物速度論の意義と基本的事項について解説する.
13.血中濃度の解析
  • 静脈内投与後および経口投与後の血中濃度データを最も単純な数理モデルを用いて解析する方法を解説する.
14.医薬品開発と動物実験
  • 医薬品開発の大まかな流れと臨床試験・非臨床試験の意義および動物実験の手法について解説する.
15.総復習
  • 講義全体を振り返って,重要なポイントを復習する.

評価

試験で評価する.

再評価

実施する.

教科書

基本的にプリントで授業を進めるが,下記の書籍も教科書として用いる.

薬と疾病1(薬の効くプロセス),日本薬学会編,東京科学同人

薬剤学(第4版),瀬崎,木村,橋田編,廣川書店

日本薬局方解説書(学生版),廣川書店

連絡先

薬学部薬物動態制御学研究室hkiwada@ph.tokushima-u.ac.jp
オフィスアワー: 随時