2010年度 薬学部 薬学科 学部課程 薬学科 — [必修] 1年(後期)

2010年度 薬学部 創製薬科学科 学部課程 創製薬科学科 — [必修] 1年(後期)

基礎有機化学3

Basic Organic Chemistry 3

教授・落合 正仁

1単位

形態

講義

目的

人が生きること,病気になること,喜怒哀楽などの生命現象は有機化学反応によって引き起こされます.有機化学は生命にかかわる科学であり,病を治す薬を作るために,薬が何故効くのかを理解するために,まず有機化学を学習します.``何故,この有機化学反応は進行するのか? 逆方向の反応は何故起こらないのか?''判断できる力を身につけます.

概要

有機化学は論理的な学問であるため,丸暗記を要求されることはほとんどありません(少しはあります).一見膨大に見える有機化学も,実は数少ない基本的原則とこれら原則の応用とから構成されています.この基本的原則さえ身につければ,有機化学において最も重要な反応機構を予測すること(反応を理解すること)ができます.
基礎有機化学3においては,有機化学における基本原理や原則を学習し,反応性についての基礎的理解力を身につけます.

カリキュラム関連

薬学モデル・コアカリキュラムC-4-(3)に関連

キーワード

求核置換反応,脱離反応,反応機構,超共役,脱離能

注意

最近の有機化学は急速な発展を続けており,新着雑誌に掲載された反応についてもこれを適宜おりまぜながら,講義を行います.参考書として推薦したウエイド有機化学は素晴らしい本です.この本を使用して自ら学べば,必ず有機化学が分かるようになります(保証します).図書館に置いてありますので,是非読んで下さい.
質問は大歓迎です.自分で勉強を始めると,疑問に思うことが必ずでてきます.授業時間中に,あるいは授業終了後研究室を訪ねて,解決して下さい.

目標

1.有機ハロゲン化合物の代表的な性質と反応を列挙し,説明できる.
2.求核置換反応(SN1及びSN2反応)の機構について,立体化学を含めて説明できる.
3.ハロゲン化アルキルの脱ハロゲン化水素の機構を図示し,反応の位置選択性(Saytzev則)を説明できる.
4.アルコール類の代表的な性質と反応を列挙し,説明できる.
5.アルコール類の代表的な合成法について説明できる.
6.アルコール,カルボン酸などの酸性度を比較して説明できる.
7.アルコール,カルボン酸などの酸性度に影響を及ぼす因子を列挙し,説明できる.

計画

1.授業ガイダンス及び二分子求核置換反応SN2反応(ボルハルト現代有機化学6章)
2.SN2反応の立体化学と反応速度論(反応エネルギー図)
3.SN2反応における脱離基の脱離能,溶媒効果,求核剤の求核性及び基質の構造
4.一分子求核置換反応SN1反応(ボルハルト現代有機化学7章)
5.SN1反応の反応機構:反応速度論(反応エネルギー図)と立体化学
6.カルボカチオンと超共役及びHammondの仮説
7.SN1反応における脱離基の脱離能,溶媒効果,求核剤
8.カルボカチオンの転位反応(ボルハルト現代有機化学9章)
9.一分子脱離反応E1反応(ボルハルト現代有機化学7章)
10.E1反応の反応機構
11.Saytzev則と超共役
12.二分子脱離反応E2反応(ボルハルト現代有機化学7章)
13.E2反応の反応機構
14.立体化学(アンチ脱離)と重水素同位体効果
15.アルコール(ボルハルト現代有機化学8章)
16.定期試験

評価

学期末試験,日頃の学習の到達度,小テスト,レポートなどにより判断します.

再評価

実施します.

教科書

ボルハルト・ショアー現代有機化学 上,下 化学同人

参考書:ウエイド有機化学 I,II,III 丸善

連絡先

(研究室)薬学部・精密薬品製造学(本館6階中央)
(Eメールアドレス)mochiai@ph.tokushima-u.ac,jp
オフィスアワー: いつでも結構です