地域社会ゼミナールBI (その1)
准教授・樫田 美雄
2単位
目的
家族も福祉も医療も社会的なものであり,一種の制度である.このような社会秩序としての制度,とりわけ,人と人が出会っている場面で観察できる相互行為秩序の研究方法としてのエスノメソドロジー·会話分析を,演習形式で基礎から応用まで教授する.具体的には,国内外の議論を文献に基づいて概観し,さらに,実際のデータを扱わせることで技法に習熟してもらい,国内最速の約8ヶ月間で,オリジナル·データに基づくそれなりの論文が書けるよう速成しよう.なお,平成24年度と27年度は4年次生(以上)の学生のみで構成するので,当該年度の3年次生は履修申請を行わないこと.逆に,樫田を指導教官とする卒論生は,その卒業年度に開かれる本演習を必ず履修すること.また,年度末には『ゼミ論集』を作成するので,その覚悟で臨むこと.
概要
エスノメソドロジー的相互行為分析の基礎から応用まで
キーワード
エスノメソドロジー,会話分析,相互行為分析,芸としてのコメント,知の技法
注意
1.演習という性格上規模の限界があるので,希望者が多い場合は調整する.2.地域社会サブコース所属の3年次生は,サブコース所属教官が開講しているゼミナ ールを,最低限一つは履修すること.また,地域社会サブコース所属の2&3年次にはいずれかの年度に所属サブコース教員が開講している調査実習を必ずひとつは履修することが望ましい.3.知識不足が顕著なものには,「課題図書」を指定するので自習すること.
目標
1. | 相互行為分析の基礎を身につける.卒業論文(エスノメソドロジー以外の領域も相談の上引き受ける場合がある)およびゼミ論文に必要なテキスト読解能力を身につける. |
計画
1. | 前期は,まず4月に「これまでの徳大での学習·研究生活の総括」を行い,卒論·ゼミ論に向かう構えを作る.ついで『エスノメソドロジーを学ぶひとのために』『実践エスノメソドロジー入門』『語る身体·見る身体』中の主要論文を読み,各自のテーマ設定を行う.前期後半から後期にかけては各人の研究発表を行うと共に,関連する邦文·欧文文献(たとえば,『文化と社会』第2号所収の諸論文)を輪読する.分担部分の報告者1名と討論者1名は必ずレジュメを作成してくること.レジュメの作成技法およびコメント·討議する際の留意点は演習の中で随時教示する.雑誌論文の検索法·取り寄せ法も教授する.最終的には,発表もコメントも芸であることを理解させたい.具体的には,あとさきを考えた,議論の流れを誘導するようなコメントを行う能力の獲得を目指したい.なお,必要に応じて合宿を実施し,長時間討論や,プレゼンテーション能力の涵養にも留意する. |
評価
平常点(発表と討論の様子)を基本とするが,学習を促すための中間テストでの点を加点の素材として加える可能性もある.
再評価
おこなわない
教科書
教科書 (以下のものを想定しているが履修者人数分を著者割引で取り寄せる予定なので事前入手の必要はない)山崎敬一編『実践エスノメソドロジー入門』有斐閣 2004
好井 裕明・串田 秀也編『エスノメソドロジーを学ぶひとのために』世界思想社2010.
山崎敬一·西阪仰編『語る身体·見る身体』ハーベスト社1997
『文化と社会』第2号 ISBN-:4-89616-127-0,マルジュ社 2000
参考書 西阪仰『心と行為-エスノメソドロジーの視点-』岩波書店 2001
西阪仰『相互行為分析という視点』金子書房 1997
サーサス/ガーフィンケル他『日常性の解剖学』マルジュ社 1989
好井·山田編『会話分析への招待』世界思想社 1999
D.サドナウ『病院でつくられる死』せりか書房 1992
連絡先
- オフィスアワー: 火曜日 14時∼15時の予定(面談申込書あり,樫田研ドアに掲出).
備考
地域調査実習を担当する年度は,卒論生にのみ開講する.そうでない年度は3年生にも開講する(予定)