2010年度 総合科学部 人間社会学科 地域システムコース 地域社会サブコース 学部課程 — 3年(前期)

地域社会ゼミナールCI (その1)

准教授・矢部 拓也

2単位

目的

前後期を通じて,現代社会に対しての社会学的視座と社会問題を解決する力を身につけることを目指す.前期は,文献講読を通じて,現代社会の諸問題に対する基本的な社会学的視座を習得し,後期は,まちづくりを題材に,実践的な知を身につけることを目指す.

概要

まずは,親密圏(友だち関係)を題材に,土井(2004)の文献を元に,身近な人間関係を分析する際の見方を習得する.次に,近年大きな問題になっている,失業,野宿者,貧困の問題を扱っている,湯浅(2008)を取り上げる.湯浅は,単なる評論家とは異なり,現在の野宿者問題を理論的に分析した上で,派遣村やNPOなどを通じた実践を行っている.後期につながる視点であるが,単なる社会分析に終わらず,実践に生きる社会分析を身につけて欲しい.その上で,我々現代人が進むべき社会とはどういった社会であるのかといった,マクロな視点から現代社会を再考するために,広井(2001)を取り上げる.高度成長期以降の拡大社会から,今後の社会は人口停滞・縮小に向かう.新たに到来する社会とはこれまで我々が当然と思っていた社会とどのように異なるのか,「定常社会」というキーワードのもと,今後の社会のあり方について議論を行う.最後に後期へのつながりとして,金子(1992)を取り上げる.金子は研究者でありながら,実際のNPOなどの支援と実践を行っており,そこで経験する様々な問題点を踏まえながら,ボランティアという活動についての議論を展開している.学術的に分析することと,実践することの交差を議論する.

キーワード

社会学,貧困,定常型社会,ボランティア,現代社会

目標

1.文献講読を通じて,現代社会を見る上での基本的な視点を身につけること

計画

1.ガイダンス
2.『「個性」を煽られる子どもたち:親密圏の変容を考える』
3.フリーター漂流ビデオ視聴
4.『反貧困:「すべり台社会」からの脱出』1
5.『反貧困:「すべり台社会」からの脱出』2
6.『反貧困:「すべり台社会」からの脱出』3
7.『反貧困:「すべり台社会」からの脱出』4
8.『定常型社会:新しい「豊かさ」の構想』1
9.『定常型社会:新しい「豊かさ」の構想』2
10.『定常型社会:新しい「豊かさ」の構想』3
11.『定常型社会:新しい「豊かさ」の構想』4
12.『ボランティア:もうひとつの情報社会』1
13.『ボランティア:もうひとつの情報社会』2
14.『ボランティア:もうひとつの情報社会』3
15.『ボランティア:もうひとつの情報社会』4
16.『ボランティア:もうひとつの情報社会』5

評価

成績評価は平常点(ゼミにおけるプレゼンテーションと貢献)

再評価

行わない

教科書

土井隆義,2004『「個性」を煽られる子どもたち:親密圏の変容を考える』岩波ブックレット433

湯浅誠,2008『反貧困:「すべり台社会」からの脱出』岩波書店

広井良典,2001『定常型社会:新しい「豊かさ」の構想』岩波書店

金子郁容,1992『ボランティア:もうひとつの情報社会』

連絡先

矢部(1228, 088-656-9311, yabe@ias.tokushima-u.ac(no-spam).jp)
オフィスアワー: 木曜日12:00∼12:45(時間帯は随時メールにてご相談下さい)

備考

「隔年開講」本年度開講