ドイツ言語文化研究II (その1)
准教授・井戸 慶治
2単位
目的
19世紀以降のドイツにおける文学と音楽の関係を,主として文学の側に重点を置いて考察する.
概要
上記の「関係」にはさまざまなものがある.最も直接的で,また事例の多いのは,文学作品(詩•戯曲など)に曲がつけられて,歌曲•オペラとなる場合である.より間接的には,いわゆる「標題音楽」などとして音楽の中に文学的要素が取り入れられる.しかしこれらの作品はどちらかといえば音楽のジャンルに属すると思われるので,参考として副次的に取り上げるにとどめる.ここで主に扱うのは,音楽と音楽家を素材とした小説などの文学作品であり,また音楽芸術一般や特定の音楽家•楽曲を論じた美学的•批評的作品である.必要に応じて関連する音楽作品を聴きながら,種々の文学作品を見てゆきたい.
キーワード
ドイツ文学,音楽
注意
ドイツ言語文化研究IIは,8単位重ね読み可能な授業であるから,原則として,連続する2年間4期の授業のうち,複数の授業を修得してもすべて卒業に有効な単位となる.したがって,この4期の授業はそれぞれ内容的に異なるが,テーマは「ドイツ文学で扱われる芸術と芸術家」で一貫している.
目標
1. | 1. 近代のドイツにおいて,音楽や音楽家に関するさまざまな考え方や感じ方が,文学にいかに表現されているか,また文学と音楽の影響関係はいかなるものだったかを知る. |
2. | 副産物として:作家たちの独自の感じ方・考え方を通して,特定の作曲家,楽曲に対するこれまでとは違った聴き方ができることもある. |
計画
1. | 以下のような作家•作品•テーマを扱うが,詳細については若干の変更もありうる.また,各項目の番号は扱う内容の順序を示しているが,必ずしも1回の授業の範囲を厳密に規定するものではない.1回目では,今後の授業方針の説明などをおこなう. |
2. | 18世紀後半のドイツ文学における音楽(家)の描かれ方 |
3. | ロマン派文学における音楽観 |
4. | E.T.A.ホフマン:「牡猫ムルの人生観」 |
5. | 同:「クライスレリアーナ」,ベートーヴェン論など |
6. | シューマンの音楽批評と文学の影響 |
7. | メーリケ:「旅の日のモーツァルト」 |
8. | ワーグナー:「タンホイザー」 |
9. | 同:「ニュルンベルクのマイスタージンガー」 |
10. | トーマス・マン:「ファウストゥス博士」 |
11. | トーマス•マンのワーグナー論と「ブッデンブローク家の人々」 |
12. | クラウス・マン:「悲愴交響曲」 |
13. | グリルパルツァー,ヘッセなどの音楽観 |
14. | 同上 |
15. | 予備 |
16. | 総括授業 |
評価
レポートと授業への取り組みで総合的に評価する.
再評価
なし.
教科書
適宜プリントを配布する.
参考資料
授業中にプリントを配布し,視聴覚資料などを示し,参考文献の指示もおこなう.
連絡先
- オフィスアワー: 火曜日16-17時,3号館1階学習支援室