日本文学演習Ⅰ
教授・原水 民樹
4単位
目的
物語の背景としての歴史 『保元物語』において乱の謀主として位置づけられる藤原頼長の日記『台記』を抄読することにより,平安末期の政界の状況および貴族の思考法等への知識を得ることで,『保元物語』成立の土壌を探る.また変体漢文の読み方を会得する.
概要
該授業においては,『台記』の中から当時の政界の状況,貴族の様態,頼長の思考法・価値観,世相等を記した興味深い日常を選んで読んで行く.『台記』自体は文学作品ではないが,『保元物語』を読み解く上で極めて重要な史料である.授業は時間ごとに,担当となった受講生が,原文を読み下した上で,注釈を行うことを基本とする.
キーワード
台記,藤原頼長,歴史と文学,保元物語
先行科目
日本言語基礎研究II,日本文学基礎研究II,日本史基礎研究II
関連科目
日本史演習II,日本言語演習II,日本文学演習II
注意
注釈書はないので,辞書類その他多くの史資料を幅広く調査することが要求される.演習を担当する学生は資料を作成して授業に臨まなければならない.具体的な方法については,最初の数時間を用いて説明する.
目標
1. | 平安貴族の思考・習慣・生活様式を知る. |
2. | 歴史と文学の境界あるいは関わりの問題を考える契機とする. |
3. | 平安時代末期の政界の事情を知る |
計画
1. | 記主藤原頼長についての解説 |
2. | 『台記』についての解説 |
3. | 康治元年一月の美福門院呪詛事件を中心に. |
4. | 康治元年三月の西行記事を中心に. |
5. | 康治元年五月の鳥羽院誕生話を中心に. |
6. | 康治元年八月の猫の話・ふだらく渡海を中心に. |
7. | 康治二年正月の藤原成雅記事を中心に. |
8. | 康治二年八月以降の信西関係話を中心に. |
9. | 康治三年九月の頼長の学問の傾向記述を中心に. |
10. | 天養二年正月の人物批判を中心に. |
11. | 久安三年六月の鳥羽院との関係を示唆する記事を中心に. |
12. | 久安三年九月の天王寺参詣記事を中心に. |
13. | 久安四年六月の養女入内計画関係記事を中心に. |
14. | 久安四年七月の養女入内計画関係記事を中心に. |
15. | まとめ |
16. | レポート |
評価
演習形式の授業を根幹とし,それらについての評価及び期末のレポートに受講姿勢を勘案して行う.
再評価
行わない
教科書
当方でプリントを用意する.
参考資料
当方で用意する.
連絡先
原水(1号中棟1階, 088-656-7113, haramizu@ias.tokushima-u.ac(no-spam).jp)
- オフィスアワー: 水曜日14時30分∼15時30分