2010年度 総合科学部 人間社会学科 地域システムコース 学部課程 — 2年(前期)

環境社会学研究

准教授・樋口 直人

2単位

目的

本年度は,新カリキュラムとの移行期に当たるため,グローバル社会論と環境社会学研究の双方の性格を持たせた講義をする.個々の環境問題は局地的な現象としてあらわれるが,我々はもはや個別の地域で完結した環境問題を語ることはできない.地球環境問題がいわれるようになってから20年が経過した現在,それぞれの地域をみるためにはグローバルな影響を常に考える必要がある.本講義ではこうした立場から,グローバル化と社会について解説していく.

概要

グローバル化する社会が抱える問題について,社会学の概念を用いてアプローチする.その際,特に身近な生活のグローバル化,環境問題のグローバル化,移民問題の3点を柱としてそれぞれ具体的な素材を用いて説明する.特に徳島のような地域では,グローバル化といってもイメージがわきにくいので,映像資料の解説をできる限り取り入れて理解を助けるようにしたい.

注意

社会変動研究は関連の強い科目なので,可能な限り受講されたい.

目標

1.グローバル化する社会について,単に現象を現象として理解するのではなく,社会学的に把握する視点を学んでほしい.

計画

1.1. イントロダクション
2.2.大量生産の時代としての現代
3.3.大量生産を考える:モダンタイムズと人間疎外
4.4.環境と人口の20世紀:「生産と消費」の限界としての環境問題
5.5.私たちは誰とつながっているのか:市場経済,環境,フェアトレード
6.6.食卓の裏側:『ダーウィンの悪夢』とグローバル化する食卓
7.7.アメリカ化する世界:グローバルな農業の工業化
8.8.グローバルとローカル:『モンド・ヴィーノ』と食をめぐる2つの道
9.9.新国際分業と世界都市の形成
10.10.南北国境の3000キロ:メキシコとアメリカの移民問題
11.11.メキシコ化するアメリカ:『ブレッド&ローズ』と移住労働者
12.12.グローバル化する移民:(1)南米の日系人と経済危機
13.13.グローバル化する移民:(2)日本の南米人と経済危機
14.14.グローバル化する移民:(3)家事・介護労働と移民

評価

成績評価はレポートと出席点による.6月に提出してもらうレポートの原案にコメントをつけて返却する.受講者は,それをもとにレポートを完成させて8月に提出する.毎回提出してもらう小テストが40点,レポートの計画書が10点,レポートが50点という配分になる.評価基準やレポートのテーマ設定,書式など詳しくは初回に説明するので,必ず出席すること.

再評価

行わない

教科書

教科書は用いないが,関連する文献リストを初回に配布する.また,教科書の代わりに毎回レジュメを配布する.レポート作成にあたっては,参考文献を5点以上読んで引用することが求められる.

参考書 コーエン&ケネディ『グローバル・ソシオロジー』1・2巻平凡社,2003年

参考書 見田宗介『現代社会の理論』岩波書店,1996年

参考書 梶田孝道編『新・国際社会学』名古屋大学出版会,2005年

連絡先

樋口(1210, 088-656-7200, vyw03403@nifty.ne(no-spam).jp)
オフィスアワー: 水曜日12∼13時

備考

本年度開講(隔年開講)