2010年度 総合科学部 自然システム学科 生命·環境コース 学部課程 — 2年(後期)

細胞情報学I

教授・小山 保夫

2単位

目的

生体は生理機能を統合するために,細胞間で化学的シグナル伝達を行っている.そのシグナルを受容するのは,多くの場合は細胞膜の受容体である.この膜に届いた化学的シグナルがどのように細胞内で処理され,細胞の機能発現につながるか,解説する.また,細胞膜で起こるイオンチャネルを介する電気的シグナル伝達についても詳細に解説する.これらの情報システムの理解は単に生理機能発現の理解に止まらず,疾病や医薬品作用の細胞レベルでの理解の基礎となるものである.

概要

細胞内の化学的·電気的シグナルと生理機能発現

注意

講義計画が前後することはある.2010年開講の「細胞情報学」シラバスを参照すること.

目標

1.どのように化学的·電気的シグナル伝達を修飾すると細胞の生理機能を変化させることができるか,自由に考えられるようにする.

計画

1.ベースとしての知識は,エッセンシャル細胞生物学である.全般的にポイントを説明する.
2.化学的シグナル伝達受容機構とその相互作用およびGタンパク質
3.細胞内カルシウムシグナルなどのセカンドメッセンジャーと機能
4.情報伝達におけるリン脂質代謝
5.タンパク質リン酸化·脱リン酸化反応とそのカスケード
6.神経細胞におけるシグナル伝達路とそのクロストーク
7.免疫細胞におけるシグナル伝達路
8.細胞情報伝達に対する多くの化学物質(環境汚染物質も含む)·医薬品の影響(1)神経系
9.細胞情報伝達に対する多くの化学物質(環境汚染物質も含む)·医薬品の影響(2)神経系以外
10.電気的シグナル伝達の基礎
11.細胞膜の電気的シグナル伝達を測定する方法(電圧固定法と電流固定法)
12.イオンチャネルの基本的な性質と種類(1)ナトリウムおよびカルシウムチャネル
13.イオンチャネルの基本的な性質と種類(2)カリウムチャネル
14.イオンチャネルの基本的な性質と種類(3)その他のイオンチャネル
15.知識の確認と試験
16.化学的,電気的シグナルの総括

評価

本試験の成績により評価するが,試験の点数が低い場合には小テスト成績と出席回数を加味する.

再評価

なし.

教科書

エッセンシャル細胞生物学.他の講義でも使うと同時に,生命科学系の大学院を受験する学生には必須の教科書である.

連絡先

小山(総合科学部3号館3N06, oyama@ias.tokushima-u.ac(no-spam).jp)
オフィスアワー: 特に設定はしない.質問はいつでも良い.