健康科学特論
目的
神経筋,呼吸循環,代謝機能系などの身体・運動科学の知識を基礎に,これらを単に生理科学的な問題にとどめず,生活習慣病,要介護といった現代の地域社会における問題,およびその対策法としての「運動・身体活動」の重要性を理解する上で必要な「運動療法・処方」,「介護予防」,「脳とコオーディネーション能力」などをキーワードとした「地域における健康関連の諸問題の解決策としての運動・身体活動」の総合的な視点を得ることを目的とする.
概要
授業担当教員が行ってきた運動生理学を基盤とした地域における健康運動実践プログラムの開発と指導の経験を踏まえ,地域社会における健康問題の解決策を授業のテーマとする.そのために,筋機能および全身の代謝に及ぼす発育,加齢,栄養,一過性運動や身体トレーニングの影響に関する諸知見を基礎分野として学習し,エネルギー論的な面から運動・身体活動に伴う身体諸機能の適応現象による健康•体力,また情報論的な面から運動行動制御に関連する脳高次機能とコミュニケーションなどの社会的機能に関わるコオーディネーション能力について学習する.これらを通じて健康•体力に関する地域社会の科学的,実践的課題についての理解をめざす.
キーワード
健康,運動,環境,身体
注意
授業計画の内容は,受講者の専門分野を考慮しながら横断的テーマとして扱うこともある
目標
1. | 健康科学の知見を,地域社会における健康プログラム作成に生かす知識を得る |
計画
1. | 地域社会の特性と「健康体力」の現代的課題(的場・荒木・三浦) |
2. | 運動科学の基礎①-骨格筋の筋線維タイプの生理・生化学的特性(的場) |
3. | 運動科学基礎②-有酸素的トレーニングとレジスタンストレーニングの健康増進効果(的場) |
4. | トレーニング科学基礎-運動時の水分・栄養補給,一過性運動・トレーニングの生化学(的場) |
5. | 発育発達に及ぼす運動の影響(的場) -地域の社会的,自然的環境因子との関連から- |
6. | 生活習慣病の現状と日本人の健康・体力レベル -特に地域環境との関係性-(三浦) |
7. | 地域社会における要介護の原状と介護予防に対する運動(三浦) |
8. | 運動と健康・体力との関係(三浦) |
9. | 疾病予防のための運動の役割,生活習慣病に対する運動療法(三浦) |
10. | 運動と脳神経系,脳の健康科学(荒木) |
11. | コオーディネーション理論と地域環境に帰因する人間行動(荒木) |
12. | 運動・身体の認知科学 -地域の社会,自然環境が脳に及ぼす影響-(荒木) |
13. | 言語と運動・スポーツ -健康運動教室で展開されるコミュニケーション問題-(荒木) |
14. | 身体機能と運動の評価法(的場・荒木・三浦) |
15. | 総括的討論(的場・荒木・三浦) |
評価
出席状況,期末試験および討論への参加態度を総合的に評価する.
再評価
原則的に再試験は行わない.
教科書
1.Powers SK & Howley ET (1994) Exercise Physiology, Brown & Benchmark