言語文化特論A
教授・宮崎 隆義
2単位
目的
作品の精読を通して作品の芸術性を分析し,そこに込められた人間の精神文化の表層と深層を読み解くことを到達目標として,19世紀英国小説研究をテーマとする.言語で構築された虚構空間としての小説は,必然的にある特定の地域を描き出しているが,そうした面を,地域科学に包含されるを文化表象の側面として捉えながら,基礎的なアプローチの手法についての知識と方法を習得する.さらに,その地域の言語文化として,その特質や意義に留意しながら芸術性を分析することにより,地域科学のひとつの方法としてその地域の文化の表層と深層を読み解くことを考える.
概要
イギリスの文化を視野に入れながら,具体的には19世紀ヴィクトリア朝の詩人・小説家で,英文学史上初めて都会に対する地方という見方を示し,地方ということ,地域ということを,方言を含む言語によって良質の芸術を創出したトマス・ハーディの作品を読み,そこに表わされたいくつかの文化表象に目を向ける.そこから窺えるものとして,地域に根ざした迷信や怪奇などから,イギリスの文化の特質とその流れなどを掴み,同時に,よりグローバルな視点から,また現代的な視点からも眺めてみたい.
キーワード
英文学,トマス・ハーディ,迷信・怪奇
注意
関連する事項について,自主的に広範囲に資料を渉猟してほしい.
目標
1. | 英文学作品を精読すると同時に,多様な視点からの分析力を養う. |
計画
1. | 第1回 言葉の世界・文学の世界とは |
2. | 第2回 文学から眺めるイギリスの世界 |
3. | 第3回 Thomas Hardyについて |
4. | 第4回 Thomas Hardyの短篇小説について―その言語性と地域性― |
5. | 第5回 ``The Withered Arm'', A Lorn Maid |
6. | 第6回 ``The Withered Arm'', The Young Wife |
7. | 第7回 ``The Withered Arm'', A Vision |
8. | 第8回 ``The Withered Arm'', A Suggestion |
9. | 第9回 ``The Withered Arm'', Conjuror Trendle |
10. | 第10回 ``The Withered Arm'', A Second Attempt |
11. | 第11回 ``The Withered Arm'', A Ride |
12. | 第12回 ``The Withered Arm'', A Water-side Hermit |
13. | 第13回 ``The Withered Arm'', A Rencounter |
14. | 第14回 ``The Withered Arm''に見られる迷信と怪奇の要素 |
15. | 第15回 都会性と地方性―地域の諸相― |
16. | 第16回 総まとめ |
評価
授業への取り組み,発表,レポート等を総合的に評価する.
教科書
主にプリントの使用とし,授業時に用意し配布する.
参考資料
参考資料は授業時に適宜配布する.
連絡先
- オフィスアワー: 火·木曜日 12時∼13時