福祉社会特論A
准教授・樫田 美雄
2単位
目的
現代社会論として福祉社会論を学ぶ.障害学,認知症研究,自閉症研究等の諸トピックに関して,研究者的理解にとどまらない市民的理解をまなぶ.それらを総合的に学びながら,現代社会を考える視点を得る.
概要
まず,『Patient Participation in Health Care』のいくつかの章(コンサルテーション論ほか)を訳読方式で扱った上で,竹中均2008『自閉症の社会学』などの自閉症関連研究を4回でよみ,社会学理論と福祉の諸領域を考えることの結びつきの深さを理解する.さらに,杉野昭博2007障害学―理論形成と射程』などの障害学関連文献を数回,美馬達哉『<病>のスペクタクル-生権力の政治学―』の後半(5∼8章),杉山登志郎『発達障害の子どもたち』,石田仁編『性同一性障害』(7-8章)などの医療社会学関連文献を各1,2回かけて読みながら,福祉社会における医療と福祉と教育について理解を深める.その後保健医療社会学会や質的心理学会などの学会誌をいくつかチェックした上で,これらの学問的蓄積の総合のもとで,認知症について議論し,学期末(日程未定)の講演会(医療社会学者)を聞き,レポートを書く.
キーワード
自閉症,障害学,患者参加,認知症
注意
初回(4月15日)にオリエンテーションを行うので,休まないこと.以下の4回は,社会学水曜読書会という研究会に参加し,市民の学びというものを理解するための体験学習の機会とする.4月22日,5月20日,6月17日,7月15日.また,8月8日15:30から18:30にかけて,井口高志氏との「投稿論文の書き方セミナー」を開催するので,なるべく出席すること.共同行事への出席がコンスタントに困難な場合には,代替レポート課題の準備をするので,早め早めに申し出ること.
目標
1. | 福祉社会としての現代社会を理解する.社会学とエスノメソドロジーの方法論的価値を理解する. |
計画
1. | ガイダンス.社会学と福祉社会.,『Patient Participation in Health Care』の学習計画を立てる. |
2. | 美馬達哉『<病>のスペクタクル-生権力の政治学』を読んで現代社会を考える. |
3. | 竹中均『自閉症の社会学』を読んで,ミードと自我の構造について考える. |
4. | 竹中均『自閉症の社会学』を読んで,ゴフマンと現代社会について考える. |
5. | 杉山登志郎『発達障害の子どもたち』を読んで,社会と発達について考える. |
6. | 竹中均『自閉症の社会学』を読んで,会話分析と現代社会について考える. |
7. | 竹中均『自閉症の社会学』を読んで,社会学理論と現代社会について考える. |
8. | 杉山登志郎『発達障害の子どもたち』を読んで,個性としての障害について考える. |
9. | 杉野昭博『障害学―理論形成と射程』を読んで,米国の障害学について考える. |
10. | 杉野昭博『障害学』を読んで,イギリスの障害学について考える. |
11. | 石田仁編『性同一性障害』(7-8章)を読んで,当事者性について考える. |
12. | 杉野昭博『障害学―理論形成と射程』を読んで,日本の障害学について考える. |
13. | 杉野昭博『障害学―理論形成と射程』を読んで,障害学の未来について考える. |
14. | 『Patient Participation in Health Care』の4章(コンサルテーション論)を読んで,患者参加について考える. |
15. | 前期の学習を総合して,認知症について考える.レポート構想を発表する. |
16. | 医療社会学者による講演を聞き,考える.また投稿論文の書き方を身につける. |
評価
出席,平常点,レポートを総合して採点する.
再評価
再評価の予定はない.
教科書
美馬達哉『<病>のスペクタクル-生権力の政治学』人文書院.2007年.2400円+税.
竹中均『自閉症の社会学』世界思想社.2008年.
杉山登志郎『発達障害の子どもたち』講談社.
杉野昭博『障害学―理論形成と射程』東京大学出版会.
石田仁編『性同一性障害』御茶の水書房.
『Patient Participation in Health Care』はコピーを準備します.
参考資料
好井 裕明・山田 富秋・西阪仰編1999『会話分析への招待』世界思想社.
中西 正司・上野千鶴子『当事者主権』岩波書店.
好井 裕明・串田 秀也編『エスノメソドロジーを学ぶ人のために』世界思想社2010
連絡先
- オフィスアワー: 火曜日14:00から15:00.
備考
発表者は,レジュメを準備してくること.コメンテーターも,A4で1枚のコメントを準備してくること.初回に半期15回の予定を立てるので,事情で初回に来ることができない学生は,必ず事前に樫田にコンタクトすること.kashida@ias.tokushima-u.ac.jpの利用がのぞましい.