2010年度 徳島大学 共通教育 教養科目群 — 毎年(前期)

歴史と文化 / 日本語について考える

History and Culture / Japanese Loanwords

平成19年度以前の授業科目:『歴史と文化』

平成16年度以前 (医保は17年度以前) の授業科目:『歴史と文化 / 日本語について考える』

教授・仙波 光明

2単位

 金(1.2) 全

授業のタイプ

講義

授業の目的

日本語の歴史を語彙の面から検討する.日本語の語彙には,多くの外来語が含まれていることを知り,それらが日本語の中で果たしてきた役割を理解すると共に,外来語の功罪を考え,我々が表現する際の言葉の選び方に活かせるようにする.

授業の概要

日本語の語彙には,多くの外来語(借用語)が含まれている.現代日本語では,特に英語起源の語もしくは和製英語の使用がしばしば議論の種になってきた.なぜ,日本語には借用語が多いのだろうか.また,借用語は日本語にどんな性質を与えてきたのだろうか.この授業では,奈良時代以降,日本語が借用してきた外来語にはどのようなものがあったかを取り上げつつ,主として漢語と英語が日本語に与えた影響,現代日本語での問題点を考える.

受講者へのメッセージ

シラバスの内容および授業の進度について,ある程度の修正が行われるかもしれない.詳しくは,1回目の授業で説明する.以上は,あくまでも予定である.この授業では,毎回,小テストを実施する.また授業に関する質問·感想·疑問等を書いて提出してもらうが,このデータ(出席状況,質問,感想)は,次回の授業資料に記すかたちで受講生に公開される場合がある.ただし,受講者数などの状況によって不可能になるかもしれない. なお,6回以上欠席した場合には,名前が上記資料から自動的に削除される.

到達目標

1.日本語を構成している語彙について,正確な知識を身につける.
2.日本語に関する問題を検討するための調査方法を知る.
3.正確な知識に基づいて,国語問題,日本語を巡る諸問題に対する意見を表明できる.
4.文章を書いたり,話をしたりするときに,意識的に,かつ適切に語を選ぶ態度を身につける.

授業の計画

1.授業概要の説明. 外来語とは何か.
2.語彙の種別(和語・漢語・外来語・混種語)と,日本語におけるそれぞれの役割を概観する.
3.古代∼中世日本語の外来語.
4.漢語について(1) 漢語の受け入れには,どのような問題があったのか.
5.漢語について(2) 日本語の中の漢語および漢字の問題点(1).日本語が蒙った不利益.
6.漢語について(3)日本語の中の漢語および漢字の問題点(2).日本語が享受している利益.
7.中世末期∼近代の外来語(特にポルトガル語,オランダ語起源の言葉.残ったのはどんな語?)
8.明治∼昭和の外来語 日本人の活動分野と外来語との関係(ドイツ語・イタリア語・フランス語⋯⋯)
9.現代の外来語(1) あふれる英語および和製英語と,その問題点.
10.現代の外来語(2) 同上.
11.現代の外来語(3) 同上.もし,外来語がなかったら,日本語はどうなるか.
12.漢語と外来語.その現代語における優劣.
13.外来語にどう向かい合うか.『「外来語」言い換え提案』などを素材として.
14.同上(2).または,補足とまとめ.
15.試験

成績評価の方法

小テスト50%,試験50%を基準とする.

再試験の有無

教科書

金田一春彦『日本語 新版(上)』岩波新書

参考書

石綿敏雄『外来語の総合的研究』東京堂出版(図書館で閲覧可能)

高島俊男『漢字と日本人』文春新書.

鈴木孝夫『日本語と外国語』岩波新書,など.その他,随時紹介する.

連絡先

仙波(2319, 088-656-7117, senba@ias.tokushima-u.ac(no-spam).jp)
オフィスアワー: 金曜日 17時∼18時 総合科学部1号館中棟3階(2319)