日本文学研究Ⅱ
准教授・堤 和博
2単位
目的
日本の古典(特に平安時代)文学研究の基礎のうち,作家論及び解釈方法について修得することを目的とする.テーマとしては,『紫式部日記』を取り上げ,文学史上の位置づけも講じる.
概要
日本文学のうち,平安時代の文学作品を読解する際,また,資料として扱う際の方法及び留意点を,『紫式部日記』を主たる具体例として取り上げて講義する.他の作品にもなるべく多く言及する予定である. 平安時代に限らず,古典の文学作品は,近現代の作品とはかなり違った性格を備えているので,留意する点も多種多様に渡る.それらをいくつかの主題に分けて講じていく. また,平安時代の日本文学に触れるとすれば,当然文字で書かれたものを媒体とすることになる.そしてそれは,印刷技術が発達する近世までは,もっぱら写本ということになるのである.受講者が今まで接してきた古代の文学作品は,教科書にせよ注釈書にせよ,活字に直されたものであったはずである.それらのものは,その注釈書等を執筆した学者が各自の見識に基づき,写本(または,版本)をもとにして活字化したものなのである.本授業では,活字化されたものではなく,写本(または,版本)を資料として古代の文学作品を読解する力を養成することも目指す.よって,変体仮名を読む練習も含まれる.以上に関することのうち,作家論と解釈方法を取り上げ,文学史上の位置づけも講じる.
キーワード
平安時代文学,資料,紫式部日記,文学史
目標
1. | 平安時代の文学を資料を駆使しながら読解しレポートにする |
計画
1. | 作家論-平安時代の作家について研究する方法•資料等・『尊卑分脈』等― |
2. | 作家論-平安時代の作家について研究する方法•資料等・『公郷補人』等― |
3. | 作家論-平安時代の作家について研究する方法•資料等・文学作品― |
4. | 作家論-紫式部の生涯― |
5. | 作家論-紫式部の生涯を踏まえて『紫式部日記』を読む |
6. | 解釈方法-古語辞典の使い方― |
7. | 解釈方法-古語辞典の作り方― |
8. | 解釈方法-用例の収集方法― |
9. | 解釈方法-帰納的思考法― |
10. | 解釈方法-演繹的思考法― |
11. | 解釈方法-『紫式部日記』後半部の基本的解釈を読む― |
12. | 文学史-平安時代前半の総合的文学史― |
13. | 文学史-平安時代後半の総合的文学史― |
14. | 第14回:文学史-『紫式部日記』の文学史上の位置づけ― |
15. | 第15回:レポート作成上の注意 |
16. | 総括 |
評価
期末のレポートの出来栄えと欠席状況(備考)を加味する.
再評価
なし
教科書
中野幸一編『紫式部日記•付紫式部集』(武蔵野書院)1200円+税
参考資料
秋山虔編『黒川本紫日記(上)』(笠間書院),秋山虔編『黒川本紫日記(下)』(笠間書院)
連絡先
備考
授業には出席するのが当然なので,出席しても加点しないが,欠席すると減点する.