2010年度 徳島大学 共通教育 教養科目群 — 毎年(後期)

生活と社会 / 科学技術と社会

Living and Society / Science and Society

平成19年度以前の授業科目:『生活と社会』

平成16年度以前 (医保は17年度以前) の授業科目:『生活と社会 / 科学技術と社会』

准教授・樋口 直人

2単位

 月(13.14) 夜間主(全)

授業のタイプ

講義

授業の目的

科学技術が,社会の価値から中立であるという見方が幻想にすぎないことは,もうずいぶん前から議論されてきた.それでは,どのように社会と科学技術は関わるのか.どのような関係が望ましいのか.あるいは,どのような対立点があるのか.こうした点は,科学技術をこれから学ぶ人だけでなく,現代社会に生きる人間が自分のサバイバルのためにも学ばなければならないことであり,そうした視点を持つことが目的となる.

授業の概要

いくつかのテーマに分けて,科学技術と社会との関わりを見ていく.機械工学や生産工学から始まり,遺伝子工学や情報工学にも関わる形で議論していきたい.また,知識の習得を目的とするのではなく,自ら考える訓練の場とするために,毎回特定の課題について小論を書いてもらう.小テストも,価値が対立する点での自らの立場や考え方を明確にするためのものであり,考えることを授業では要求する.

受講者へのメッセージ

理科系の人も,今後は社会との関わりによって科学技術を捉えるセンスが求められる.知識の習得は求めていないので,そうしたセンスを磨くよう心がけてほしい.

到達目標

1.科学技術と社会の関係やその間の潜在的な対立点について理解してもらう.そのうえで,現代の科学技術の先端部分を見直してほしい.

授業の計画

1.イントロダクション
2.大量生産と大量消費
3.(1)フォード主義と大量生産
4.(2)映画『モダンタイムズ』鑑賞
5.(3)私たちはなぜ次々にモノを買ってしまうのか?:大量消費のメカニズム
6.情報技術と社会
7.(1)モノの生産からロゴの生産へ:ナイキは何を作っているのか?
8.(2)情報社会とグローバル化
9.(3)ケータイは身体をどう変えるのか?:通信技術の社会学
10.生殖技術と身体
11.(1)人は神の領域に介入しているか?:中絶をめぐる身体観の闘争
12.(2)遺伝子技術と管理社会
13.(3)映画『ガタカ』鑑賞
14.リスク社会と技術
15.(2)リスク社会の誕生
16.(2)食をめぐるリスク
17.(3)リスクの何が問題なのか?

成績評価の方法

授業中の小テスト,中間のレポート1回,期末の大レポート1回を組み合わせて評価する.評価方法については,複数のなかから受講生に有利なものを採用するが,詳しくは初回に資料を配付して説明するので必ず出席すること.

再試験の有無

教科書

教科書は使わない.

レポートの課題図書 見田宗介『現代社会の理論』岩波新書

連絡先

樋口(1210, 088-656-7200, vyw03403@nifty.ne(no-spam).jp)