2010年度 薬学部 創製薬科学科 学部課程 創製薬科学科 — 3年(後期), 4年(通年)

卒業研究

目的

薬学の知識を総合的に理解し,医療社会に貢献するために,研究課題を通して,新しいことを発見し,科学的根拠に基づいて問題点を解決する能力を修得し,それを生涯にわたって高め続ける態度を養う.

概要

各研究室にて行う

目標

1.将来,研究活動に参画できるようになるために,必要な基本的理念および態度を修得する.また,将来,研究を自ら実施できるようになるために,研究課題の達成までの研究プロセスを体験し,研究活動に必要な基本的知識,技能,態度を修得する.研究活動を通して,創造の喜びと新しいことを発見する研究の醍醐味を知り,感動する.

計画

1.(医薬品病態生化学) 細胞応答はその開始と収束の双方が厳密に制御される必要がある.この点を鑑み,細胞,殊に免疫系の主要構成員であるリンパ球の機能発現原理を,細胞内小器官のシグナル特性に着目して分子レベルで追究する.
2.(医薬品情報学) 医薬品の適正使用を目的として,医薬品の有効性と安全性に関する情報を収集 し,情報科学的手法を用いて解析・評価することにより有益な情報を創製し, それらを効果的に提供・提案するための研究を実施する.
3.(医薬品機能生化学) 学習記憶のメカニズムやアルツハイマー病などの脳機能に関する研究と,既存医薬品や天然物の新規薬効探索および発現機序に関する研究,そして酸化ストレスの研究等を行う.
4.(衛生薬学) 脂質の構造解析・分子種分析・体内動態,各種疾患と脂質代謝異常の関連, 脂質メディエーターの生理的役割,食事性脂質の健康増進効果,酸化ストレス での脂質変性の悪影響および抗酸化因子による防御の研究を行う.
5.(分子創薬化学) 「ヘテロ原子の特性を活用する新反応及び機能性分子の開発と創薬への応用」 を研究課題の柱とし,機能性複素環化合物の創製,医薬品素材の探索など,薬 学としての独自性と学際性を備えた有機化学的研究を行う.
6.(機能分子合成薬学) ペプチド,タンパク質を基盤分子とする生体機能探索,生体機能調節分子のデザイン・合成・利用に関する研究を行う.創薬支援分子のデザイン・合成・利用に関する研究を行う.
7.(薬品製造化学) 有機合成化学における未踏研究領域の開拓がテーマ.超原子価臭素置換基やヨウ素置換基の超脱離能がその推進力となる反応の開発や高エネルギー反応活性種(カルベン,ナイトレン,カチオン)の発生反応の開発を行う.
8.(有機合成薬学) 複雑な化学構造を持つ有機分子を合成可能にする,新しい有機反応の開発を行う.また自ら開発した反応を天然物合成に応用展開し,複雑かつ特異 な化学構造を持つ生理活性天然物の高効率的合成を試みる.
9.(生物有機化学) 核酸有機化学を基盤とした創薬研究を行なう.具体的にはアンチセンス,RNA干渉法など次世代型医薬品の創製研究を有機化学的アプローチから行う.
10.(創薬生命工学) 糖鎖生物学および幹細胞生物学を基盤とした,リソソーム病(リソソーム酵素欠損症)の病態解明と酵素補充療法および細胞移植治療法の開発,がんにおける抗がん剤 感受性因子と腫瘍マーカーの探索に関する研究を行う.
11.(生薬学) 天然物化学を基盤とした生薬,薬用植物,その他天然素材からの化合物の単離,構 造決定,生物活性測定等を自ら実施する研究技能を修得させると共に関連分野論文の 理解と学会等研究成果発表が可能となる指導を行なう.
12.(分子薬理学) ヒスタミンH1受容体遺伝子発現を調節する蛋白キナーゼC–δ(PKC-δ)シグナルを標的とする天然物に含まれる有効成分の同定と分子薬理作用機構解明を行う.更に,研究成果の他の機能解明への応用を図る.
13.(薬物治療学) 有効で安全性に優れた合理的薬物療法の確立を目的に,病態生理機能解析に基づ く新規薬物ターゲットの探索と治療戦略の提案に関する研究と,体内薬物情報解 析に基づく医薬品適正使用に関する研究を行なう.
14.(薬剤学) リポソームの体内動態を支配する要因の解明,癌細胞および癌組織微小環境へのターゲティング,核酸デリバリーシステムの開発等,リポソームを用いた標 的指向型DDSの開発に関する研究を行う.
15.(神経病態解析学) 脳硬塞,精神疾患,神経変性疾患に関する病態解析と新規薬物療法の開発研究,老化の発症機序に関する病態解析とその予防法の開発研究,発達期過程における脳機能の解析と発達障害に関する予防・治療に関する開発研究を行う.
16.(製剤設計薬学) ,(1)固・液界面におけるソフトマター・ハードコアの相互作用,(2) 高分子化合物と生体膜成分との相互作用,(3)高分子医薬品のデリバリーシステム の構築について研究を行う.
17.(創薬理論化学) 理論・計算化学,定量的構造活性相関などの情報化学技術を用いた統合的アプ ローチから,生体関連分子の活性・機能発現の電子および原子レベルでのメカ ニズム解明およびその創薬への応用展開を目指した研究を行う.
18.(薬品分析学) 振幅変調多重化フロー分析法,中空キャピラリーイオンクロマトグラフィーなど,新規フロー分析法や高機能分離・濃縮法の開発と,薬品分析や環境分析への応用について研究を行う.
19.(臨床薬剤学) 臨床で問題となるような医薬品の相互作用や,副作用回避に対する新しい手法の開発 などの課題に取り組む.現在は,漢方薬のエビデンス,薬剤と血小板凝集,医薬品情 報に関する研究を中心に行っている.
20.(生物薬品化学) 細胞内小器官であるミトコンドリアを主たる研究題材にとりあげ,ミトコンドリアにおけるエネルギー変換やミトコンドリアからのシトクロムc漏出機構を分子レベルで理解することを目的とした研究を行なう.
21.(臨床病態学) ・健診結果を早く確実に通知できるシステムについての研究,生活習慣病に関する効果的な保健指導の方法についての研究,アンケート及び面接による精神疾患の早期発見と治療に関する研究を行う.

評価

卒業論文,発表等により総合的に評価する

連絡先

山崎 哲男
山内 あい子
土屋 浩一郎
際田 弘志
滝口 祥令
荒木 勉
德村 彰
高石 喜久
大髙 章
宍戸 宏造
南川 典昭
伊藤 孝司
福井 裕行
佐野 茂樹
落合 正仁
中馬 寛
斎藤 博幸
田中 秀治
水口 和生
篠原 康雄
前田 健一

備考

20単位の内訳は,必修15単位,選択5単位