触媒工学
Catalytic Science and Technology
教授・杉山 茂
2単位
目的
この時点までに,多くの基礎および専門科目で習得した,それぞれ独立の概念が,触媒を通じた場合,どのように体系的に利用できるかという点を理解することを目的とする.
概要
実際に触媒を合成し反応に供するための,触媒担体選定,合成法,物性評価,活性試験,最適装置の選定などについて講述する.さらに最近の触媒工学の分野におけるトッピクスを概説する.
キーワード
触媒,反応装置,キャラクタリゼーション
先行科目
要件
「反応工学基礎」を履修し,「反応工程設計」も受講していることが望ましい.
注意
講義の開始時に復習を行なうとともに,当日の講義の要旨を述べる.そのため,予習復習の状況を重視する.授業を受ける際には,2時間の授業時間毎に2時間の予習と2時間の復習をした上で授業を受けることが,授業の理解と単位取得のために必要である.
目標
1. | 反応装置の概要とその装置に相応しい触媒の物性を述べることができる. |
2. | 代表的な触媒の反応性,調製,同定について述べることができる. |
計画
1. | 触媒工学の歴史的概略 |
2. | 反応方式(1) 液相均一,液相懸濁 |
3. | 反応方式(2) 固定床触媒反応器,流動床触媒反応器:1-3回目の講義の反応形式とそれに基づく触媒物性を復習する |
4. | 触媒各論(1) 酸·塩基に基づく触媒各論 |
5. | 触媒各論(2) 触媒の複合化:複合酸化物および分子次元触媒設計:4-5回目の講義の触媒各論の復習をする |
6. | 担体各論 担体の役割,担体―触媒の相互作用および担体各論 |
7. | 触媒調製法 担持触媒,水熱合成法,気相合成法,固相合成法等:6-7回目の触媒調製法を復習する |
8. | 触媒調製法までの演習と解説 |
9. | キャラクタリゼーション(1) 表面積,分散度,酸性度,塩基性度の測定法 |
10. | キャラクタリゼーション(2) 赤外吸収スペクトル,電子顕微鏡,X線回折法,ケイ光X線 |
11. | キャラクタリゼーション(3) X線光電子分光法,X線吸収広域連続微細構造,固体NMR:9-11回目の講義のキャラクタリゼーションを復習する |
12. | 速度論:触媒に特徴的な速度論的取り扱いを復習する |
13. | 最近のトッピクス(1):生産型触媒 |
14. | 最近のトッピクス(2):公害抑止型触媒 |
15. | 最近のトッピクス(3):13-15回目の講義で触れた最近の技術を復習するとともに各人の興味あるトピックスを自習する |
16. | 期末試験 |
評価
到達目標1は第1回∼第3回および第13回∼第15回,到達目標2は第4回∼第7回および第9回∼第12回の講義が関連する.到達目標の達成度は基本的に第16回目の期末試験により評価する.再試験は行わない.受講姿勢および授業中の質問に対する回答を平常点とし,期末試験と平常点を60:40の割合で評価し,100点満点中合計60点以上を獲得したものを合格とする.
JABEE関連
本学科学習・教育目標(E:◎)に対応する.
対象学生
開講コース学生のみ履修可能
教科書
講義で使う資料は全て前もってU-ラーニングシステムに公開する.
参考資料
山下弘巳,田中庸裕等著 「触媒・光触媒の科学入門」 講談社
触媒学会編 「触媒講座」 講談社
連絡先
- オフィスアワー: 月曜,火曜,16時から18時,また随時対応します.
備考
触媒工学は,化学の多くの分野が融合していることによって成り立っていることに重きをおいて講義を行う.