2011年度 薬学部 薬学科 学士課程 薬学科 — [必修] 3年(前期)

2011年度 薬学部 創製薬科学科 学士課程 創製薬科学科 — [必修] 3年(前期)

基礎医療薬学4

Basic Clinical Pharmacy 4

准教授・石田 竜弘

1単位

形態

講義

目的

薬物の生体内運命を理解するために,吸収,分布,代謝,排泄の各過程に関する基本的事項を習得する.

概要

薬物の体内動態の基本である膜透過機構に始まり,吸収,分布,代謝,排泄のメカニズム及びそれらに影響する諸要因について解説する.

カリキュラム関連

薬学モデル・コアカリキュラムC13-(4) に相当

注意

必ず復習をすること.

目標

1.吸収
  1. 薬物の主な吸収部位を列挙できる.
  2. 消化管の構造,機能と薬物吸収の関係を説明できる.
  3. 受動拡散(単純拡散),促進拡散の特徴を説明できる.
  4. 能動輸送の特徴を説明できる.
  5. 非経口投与後の薬物吸収について部位別に説明できる.
  6. 薬物の吸収に影響する因子を列挙し説明できる.
2.分布
  1. 薬物が生体内に取り込まれた後,組織間で濃度差が生じる要因を説明できる.
  2. 薬物の脳への移行について,その機構と血液- 脳関門の意義を説明できる.
  3. 薬物の胎児への移行について,その機構と血液‐胎盤関門の意義を説明できる.
  4. 薬物の体液中での存在状態(血漿タンパク結合など)を組織への移行と関連づけて説明できる.
  5. 薬物分布の変動要因(血流量,タンパク結合性,分布容積など)について説明できる.
  6. 分布容積が著しく大きい代表的な薬物を列挙できる.
  7. 代表的な薬物のタンパク結合能を測定できる.
3.代謝
  1. 薬物分子の体内での化学的変化とそれが起こる部位を列挙して説明できる.
  2. 薬物代謝が薬効に及ぼす影響について説明できる.
  3. 薬物代謝様式とそれに関わる代表的な酵素を列挙できる.
  4. シトクロム P-450 の構造,性質,反応様式について説明できる.
  5. 薬物の酸化反応について具体的な例を挙げて説明できる.
  6. 薬物の還元・加水分解,抱合について具体的な例を挙げて説明できる.
  7. 薬物代謝酵素の変動要因(誘導,阻害,加齢,SNPs など)について説明できる.
  8. 初回通過効果について説明できる.
  9. 肝および固有クリアランスについて説明できる.
4.排泄
  1. 腎における排泄機構について説明できる.
  2. 腎クリアランスについて説明できる.
  3. 糸球体ろ過速度について説明できる.
  4. 胆汁中排泄について説明できる.
  5. 腸肝循環を説明し,代表的な腸肝循環の薬物を列挙できる.
  6. 唾液・乳汁中への排泄について説明できる.
  7. 尿中排泄率の高い代表的な薬物を列挙できる.
5.相互作用
  1. 薬物動態に起因する相互作用の代表的な例を挙げ,回避のための方法を説明できる.
  2. 薬効に起因する相互作用の代表的な例を挙げ,回避のための方法を説明できる.

計画

1.低分子・高分子化合物の生体膜透過機構について解説する.
2.化合物の吸収に影響する因子に関して解説する.
3.経口・非経口投与に関わらず,生体内投与後の吸収過程について解説する.
4.血流,血管の構造,血球成分,タンパクなど化合物の生体内分布に影響を与える因子について解説する.
5.組織への化合物の分布における律速過程について解説する.
6.化合物の代謝を行う臓器・部位と代謝酵素に関して解説する.
7.肝および固有クリアランスについて解説するとともに,化合物の代謝と排泄の関連について解説する.
8.化合物の腎排泄について解説する.
9.化合物の腎排泄以外の排泄機構について解説する.
10.薬物動態学的観点からの薬物相互作用とそれの回避策について解説する.

評価

試験,レポート,出席など総合的に評価

再評価

実施する.

教科書

薬剤学I,瀬崎,木村,橋田編,廣川書店

連絡先

薬学部薬物動態制御学研究室ishida@ph.tokushima-u.ac.jp
オフィスアワー: 随時