2011年度 薬学部 薬学科 学士課程 薬学科 — [必修] 1年(後期)

2011年度 薬学部 創製薬科学科 学士課程 創製薬科学科 — [必修] 1年(後期)

物理化学1

Physical Chemistry 1

教授・中馬 寛

1単位

形態

講義

目的

物理化学は,さまざまな化学現象の背景にある原理や法則を物理学の理論や測定法を利用して解き明かす学問分野である.薬学領域では,生体を構成する分子や分子集合体の性質や挙動,タンパク質と薬物との相互作用などを理解するために物理化学の知識と思考過程は重要かつ必須である.物理化学は,巨視的な系に視点を向けた熱力学,原子や分子のような微視的な視点からの量子化学,両者の橋渡しとなる統計力学の3つの柱からなる.
本講義では上記の微視的視点から分子の世界の基本を習得する.原子が結合して分子がどうのように形成されるか,分子がどのような性質を示すかを論理的に捉えることができれば,多岐にわたって展開される化学の世界もずっと理解しやすくなる.分子の世界の基本から発展し続ける物理化学,有機化学や生化学を理解し,さらに医薬品,生命化学分野等への応用として発展させることも可能となる.

概要

量子論に基づき薬学系の学生にとって必須となる原子・分子,化学結合と分子間相互作用の理解を目的として数式はできるだけ使わない形での講義を行う.

カリキュラム関連

薬学モデル・コアカリキュラムC1(1)に相当

注意

この講義は高校の化学と物理で学習したことを前提に行うので,その復習を十分にしておいてください.

目標

1.原子・分子と化学結合
  1. 前期量子論のあらましと後期量子論との違いについて説明できる.
  2. 自由粒子(1次元井戸型ポテンシャル)のシュレディンガー方程式を解ける.
  3. 水素原子とヘリウム原子のシュレディンガー方程式解の物理化学的意味を理解できる.
  4. 水素分子イオンおよび水素分子の近似解の物理化学的意味を理解できる.
  5. 多原子分子の電子配置の構成原理(パウリの原理,フントの規則)を説明できる.
  6. 混成軌道,共鳴の概念を分子軌道から説明できる.
2.分子間相互作用
  1. 分子の電気的性質(電荷,双極子モーメント)の起源を説明できる.
  2. 静電相互作用,van der Waals 相互作用,交換斥力について説明できる.
  3. 水素結合について例を挙げて説明できる.
  4. 疎水相互作用について説明できる.
  5. 上記の相互作用についての生体系の例を挙げて説明できる.

計画

1.オリエンテーション (小テスト)
2.前期量子論 (小テスト)
3.Schrodinger方程式 (1) (小テスト)
4.Schrodinger方程式 (2) (小テスト)
5.水素原子の波動関数 (1) (小テスト)
6.水素原子の波動関数 (2) (小テスト)
7.ヘリウム原子と多電子原子 (小テスト)
8.Pauliの排他原理と構成原理 (小テスト)
9.水素分子イオン (小テスト)
10.等核二原子分子 (小テスト)
11.異核二原子分子 (小テスト)
12.多原子分子の結合と構造 (小テスト)
13.Huckel分子軌道法 (小テスト)
14.分子間相互作用 (1) (小テスト)
15.分子間相互作用 (2)
16.定期試験

評価

定期試験,小テスト,レポートおよび出席状況をもとに評価する.

再評価

実施する.

教科書

松林玄洋「化学結合の基礎,第2版」(三共出版)

連絡先

(研究室)薬学部・創薬理論化学研究室(本館4階西)
(Eメールアドレス)hchuman@ph.tokushima-u.ac.jp(心当たりのないメールは読まずに削除することがありますので,用件に必ず学年と名前を記入して下さい)
オフィスアワー: 月∼金の9:00∼12:00,13:00∼17:30(e-mail により時間調節を適宜行う場合もあります)