2011年度 歯学部 口腔保健学科 学士課程 — [選択] 2年(後期), 3年(前期)

地域福祉の理論と方法

教授・羽田 勝, 助教・竹内 祐子, 非常勤講師・上地 幸博, 非常勤講師・下泉 譲

4単位

形態

講義

一般目標

地域福祉(コミュニティソーシャルワーク)の概念を学習するとともに,地域福祉の実践に必要な理論と方法について理解する.

授業概要

地域福祉の基礎理論を体系的に論ずる.また,地域福祉の実践と運営に必要な知識と方法論を教授する.

授業方法

講義形式(視聴覚教材,プリントを適宜用いる)

授業場所

(2年次後期)火曜6・7時限目 第6講義室,(3年前期)月曜4・5時限目 第5講義室

注意事項

地域福祉の理論と方法の授業では授業計画の「内容」の欄に各講義事項のキーワードを掲載している. ①受講者は各回のキーワードについて事前に予習して理解した内容を簡潔に纏めること. ②受講者は毎回受講後に学習成果を基にキーワードについて再度内容を簡潔に纏めること. また予習時の内容と復習時の内容を比較して学習成果を確認すること. ③試験は全講義数の2/3以上の出席を満たしている者に対して行う. ④予習,復習をすることが出席評価に含まれる.

行動目標 (到達目標)

1.新しい社会福祉システムとしての地域福祉を概説できる.
2.地域福祉の基本的な考え方について説明できる.
3.地域福祉の主体と福祉教育について説明できる.
4.地域福祉を推進する行政組織と民間組織の役割とその実際について説明できる.
5.コミュニティソーシャルワークにおける専門職の役割とその実際について説明できる.
6.地域福祉推進における住民参加と参加方法について説明できる.
7.ソーシャルサポートネットワークについて説明できる.
8.地域における社会資源の活用・調整・開発法について説明できる.
9.質的・量的な地域における福祉ニーズの把握方法とその実際について説明できる.
10.地域トータルケアシステムの構築とその実際について説明できる.
11.地域における福祉サービスの評価方法とその実際について説明できる.
12.日本の地域福祉に影響を与えた海外の考え方を理解する.

授業計画

大項目中項目内容担当到達目標
1.新しい社会福祉システム地域福祉の発展過程
欧米における地域福祉の源流
日本の戦前における地域福祉の源流
戦後復興期における地域福祉
コミュニティケアの移入と地域福祉の展開
羽田,竹内1
2. 〃 〃
地域福祉の実態化と発展
社会福祉基礎構造改革と地域福祉の推進
超少子高齢社会の到来と地域福祉のあり方
上地
3. 〃行政と住民の協働による新しい福祉としての地域福祉
地域福祉の新しい役割と位置づけ
行政と住民の協働による新しい福祉としての地域福祉
4. 〃新しい福祉サービスシステムとしての地域福祉
社会福祉のメインストリームとしての地域福祉
地域福祉の構成要素
地域福祉展開に必要なシステム
5. 〃福祉コミュニティの考え方と地域福祉の主体の形成
地域福祉法の施行と福祉コミュニティ
地域福祉推進の原理
6.地域福祉の基本的な考え方地域福祉理論の発展と広がり
地域福祉概念化のもととなるふたつの準拠概念の登場
地域福祉理論の初めての体系化
地域福祉論展開
2
7. 〃 〃
地域福祉論の新たな展開・深化
地域福祉の理論化への展望と課題
8. 〃地域自立生活支援と地域福祉の理念
社会福祉の目標と自立生活
自立生活支援の視点と枠組み
地域福祉の考え方
9. 〃 〃
重層的な"地域"のとらえ方
地域福祉の発展段階
10. 〃地域のとらえ方と福祉圏域
地域社会とコミュニティ論
地域福祉における地域のとらえ方
地域を重層的に捉える圏域設定の考え方
11. 〃地域コミュニティ型組織とアソシエーション型組織の有機的連携
はじめに
地域コミュニティ型組織とアソシエーション型組織の相違点
地域コミュニティ型組織とアソシエーション型組織の連携
12. 〃 〃
社会福祉協議会と自治体の役割
おわりに
13.地域福祉の主体と福祉教育地域福祉の推進と福祉教育
住民の福祉意識と福祉教育
在宅福祉サービスの構造
地域福祉の主体形成
3
14. 〃地域福祉の推進と福祉教育の歩み
福祉教育の展開
今日的な福祉教育
15. 〃福祉教育の概念と内容
福祉教育の定義
地域の中の生活課題・福祉課題
福祉教育の目標
16. 〃 〃
福祉教育の形骸化
福祉教育と教育福祉
福祉教育の推進方法と留意点
17.行政組織と住民組織の役割と実際社会福祉における地方分権化と地域福祉計画
地域福祉計画の提議
地方分権化の三つの系譜
地域福祉計画の内容
4
18. 〃社会福祉協議会の役割と実際
社会福祉協議会の組織構成
社協の歴史
法規定にみる社協の使命
社協をめぐる議論とこれからの社協活動・経営
19. 〃社会福祉法人の役割と実際
社会福祉法人とは
地域福祉における社会福祉法人の現状と課題
地域福祉における社会福祉法人の役割と実際
20. 〃特定非営利活動法人の役割と実際のボランティア活動
市民活動の意義と役割
地域福祉における市民活動の実際
21. 〃民生委員・児童委員,保護司
民生委員・児童委員
保護司
22. 〃福祉コミュニティビジネスと企業の社会貢献
はじめに
コミュニティビジネスと社会企業
福祉系NPO法人とコミュニティビジネス
23. 〃 〃
社会福祉法人と福祉系NPO
フィランソロピーからCSR(企業の社会的責任)へ
24.専門職の役割と実際コミュニティソーシャルワークの考え方
はじめに
コミュニティワークとの相違
代表的な考え方と概念
5
25. 〃 〃
考え方の五つの特徴
コミュニティソーシャルワークの課題
26. 〃コミュニティソーシャルワークの展開とシステム
連携を可能にするシステム
サービスとニーズの接近生を高めるシステム
ニーズ対応のシステム化
27. 〃 〃
システムにおける専門職の配置
システム構築としての地域福祉計画
28. 〃コミュニティソーシャルワークの方法
コミュニティソーシャルワークの基本的な展開プロセス
地域アセスメント
29. 〃 〃
ケアマネジメントを基盤とした対個人への支援
対個人への支援からサポートネットワークの形成
30. 〃専門多職種のチームアプローチとコミュニティーソーシャルワーク
同一機関内のチームアプローチ
多機関間の協働体制
機関間の協働体制の構築
31. 〃専門多職種のチームアプローチとコミュニティーソーシャルワーク,専門職と住民の関係
住民・利用者とのパートナーシップ
コミュニティソーシャルワーク展開の視点
住民組織化の方法による住民へのアプローチ
当事者組織づくり
校区福祉委員会の支援
住民主体の活動を支える専門職の役割
下泉
32.住民の参加と方法地域福祉推進における住民参加の意義
地域福祉における住民
自発性と開発生を重視する地域福祉
地域福祉推進の機能と活動,事業
住民参加の意義と役割
6
33. 〃市町村社会福祉行政における住民参加
地方分権改革と住民参加
市町村社会福祉行政における住民参加
市町村社会福祉計画の策定における住民参加の方法
34. 〃住民の代表性と参加方法
「制度的保障体系」と「直接的住民参加体系」の協働
求められる参加のレベル
参加の形態
35. 〃 〃
地域福祉と参加をめぐる議論
新たな課題として
36.ソーシャルサポートネットワークソーシャルサポートネットワークの考え方と位置
「たすけあい」の歴史とソーシャルサポートネットワーク
フォーマルサポートとインフォーマルサポート
ソーシャルサポートとネットワークづくり
7
37. 〃ソーシャルサポートネットワークとエコロジカルアプローチ
エコロジカルアプローチ
ライフモデルにおけるソーシャルネットワーク実践の考え方
ソーシャルサポートネットワークとエコロジカルアプローチ
38. 〃ソーシャルサポートとコミュニティソーシャルワーク
ソーシャルサポートの多面性
コミュニティソーシャルワーカーの役割
39.地域における社会資源の活用・調整・開発社会資源の概要
フォーマル(制度的)な社会資源とインフォーマル(非制度的)な社会資源
社会資源の内容の分類
地域福祉に関する社会資源の特徴
8
40. 〃社会資源の活用法とコーディネート
社会資源の活用法とコーディネートの意義
社会資源の活用法とコーディネートの方法
社会資源の活用法とコーディネートのあり方
41. 〃福祉サービスの開発
対人福祉サービスの転換
地方自治体と対人福祉サービス
福祉サービス供給組織の開発
福祉サービスの供給セクターの開発
42. 〃税制優遇と助成金の活用
法人格の必要性
税制の優遇措置
助成金の活用
43. 〃福祉でまちづくりとソーシャルアクション
まちづくりと市民活動
まちづくりとソーシャルアクション
44.地域における福祉ニーズの把握方法と実際地域福祉におけるアウトリーチ
福祉ニーズとは
福祉ニーズ把握の四つの視点
福祉ニーズ把握の留意点とアウトリーチの意義
福祉ニーズ把握におけるアウトリーチの意義
9
45. 〃質的福祉ニーズの把握方法と実際
質的福祉ニーズ把握の重要性
質的福祉ニーズ把握の方法
地域における質的な福祉ニーズ把握の実際
地域における質的な福祉ニーズのより効果的な把握に向けて
46. 〃量的な福祉ニーズの把握方法と実際
量的な福祉ニーズ把握の重要性と把握方法
地域における量的な福祉ニーズ把握の実際と今後の課題
47.地域トータルケアシステムの構築と実際地域トータルケアシステムの必要性と考え方
保健・医療・福祉の連携の課題
地域自立生活支援におけるチームアプローチとソーシャルワーク実践
社会福祉方法論の統合化
ジェネラルソーシャルワークの展開過程
10
48. 〃地域トータルケアシステムの展開方法
地域トータルケアシステムを展開する理論的背景
地域トータルケアシステムの展開方法の特徴
地域トータルケアシステム展開の実現に向けて
49. 〃地域トータルケアシステムの事例
遠野市トータルケアシステム構築の特徴
遠野市トータルケアシステムの継続と発展
50. 〃ソーシャルケア従事者の研修と組織化
専門職集団による研修会
職場内での研修
地域における研修会・連絡会
51.地域における福祉サービスの評価方法と実際福祉サービスの評価を必要とする背景
措置から契約へ
提供者の多元化と適正な競争
行政の新たな責任サービス提供者による権利侵害の防止
11
52. 〃評価の考え方
社会福祉法の目的と評価
経営責任とサービス評価
個別処遇と評価
53. 〃 〃
多様な評価の仕組み
経営の健全化を目指す自己努力
評価システムの明確化
54. 〃福祉サービスの評価の方法と実際
福祉サービスの評価の概要
福祉サービスの評価の方法
55. 〃福祉サービスのプログラム評価とその展開
プログラム評価とは
福祉サービス評価とプログラム評価
福祉サービスのアウトカム評価・インパクト評価
56. 〃 〃
プロセス評価の意義と方法
福祉サービスのプログラム評価の課題と展望
57.日本の地域福祉に影響を与えた海外の考え方イギリス
シーボーム改革と地域を基盤としたソーシャルワーク体制の確立
新保守主義の台頭とコミュニティケア改革
ブレア政権と第三の道
日本の地域福祉との関連
12
58. 〃アメリカ
アメリカのソーシャルワークの特徴
コミュニティにおけるソーシャルワークの展開
59.まとめ
地域福祉の理論と方法のまとめ1
60. 〃
地域福祉の理論と方法のまとめ2

成績評価の方法

2年次後期の講義終了時点で中間試験を行い,さらに3年前期終了後に筆記試験を行って合否判定を行う.評価は100点満点で60点以上を合格とする.

再試験

必要に応じて行う.

教科書,参考書

新・社会福祉士養成講座 第9巻 地域福祉の理論と方法 中央法規出版

参考資料

MINERVA 社会福祉士養成テキストブック 第8巻 地域福祉の理論と方法 ミネルヴァ書房

福祉小六法 中央法規出版

連絡先

羽田(0886622684, hada@dent.tokushima-u.ac(no-spam).jp)
オフィスアワー: 月~金 17:00~18:00
竹内(yu-take@dent.tokushima-u.ac(no-spam).jp)
オフィスアワー: 月~金 17:00~18:00
上地(連絡先未登録)
下泉(連絡先未登録)