2011年度 歯学部 歯学科 学士課程 — 3年(前期)

生化学C・D 講義

Biochemistry

教授・野間 隆文, 講師・三好 圭子, 助教・堀口 大吾, 非常勤講師・中田 博, 非常勤講師・伊藤 孝司, 非常勤講師・松本 高広

2単位

形態

講義

授業目的

生体の営みを分子のレベルで理解するために,「生化学A・B」で学習したことを基礎にして, ①高次生体構造とその機能, ②人体諸臓器の発生・分化・加齢の仕組み及びそれに伴う変化や異常による病態, ③口腔内構造物の発生・分化・機能, ④グループ学習法や発表技法, について学習する.

授業概要

ヒトを中心とする哺乳動物が示すさまざまな生命現象を物質の動きとして理解する方法を学習する.

授業テーマ

生命現象を物質レベルの動きで捉える.

授業方法

講義(スライド,プリント及びプレゼンテーション)

授業場所

第3講義室

注意事項

① 毎回,受講日までにシラバスに記載された授業予定の項目を確認し,教科書の講義範囲部分を読んで予習しておくこと. ② 受講後は新たな知識を各自で整理し,復習すること. ③ 受講後レポート作成を求められた場合は期日を厳守して提出すること. ④ 試験は学生便覧の歯学部規則を満たし,指示されたレポートの提出が完了している者に対して行う.

到達目標(<>はコアカリ対応)

1.遺伝子(染色体)の構造とセントラルドグマを説明できる.<D-1-2)-①>
2.DNA 複製と修復を説明できる.<D-1-2)-②>
3.転写と転写調節を説明できる.<D-1-2)-③>
4.翻訳の機序を説明できる.<D-1-2)-④>
5.メンデルの遺伝の法則と遺伝病を説明できる.
6.遺伝子診断と遺伝子治療の方法を説明できる.<B-1-4)-①>
7.遺伝子操作法を説明できる.<B-1-4)-③>
8.ホルモンの種類とその作用を説明できる.<D-1-4)-③>
9.細胞内でのタンパク質の輸送と分泌機構が説明できる.<D-1-4)-③④>
10.情報伝達機構を説明できる.<D-1-3)-⑤,D-1-4)-③④>
11.細胞骨格の構造と機能を説明できる.<D-1-3)-②>
12.細胞周期と細胞分裂を説明できる.<D-1-3)-④>
13.主な細胞外マトリックス分子の構造と働きを説明できる.<D-1-4)-⑤>
14.がん遺伝子及びがん抑制遺伝子の構造と機能を説明できる.
15.カルシウムの機能について説明できる.
16.硬組織石灰化の基本的機序を説明できる.<D-2-3)-(1)-⑦>
17.糖質, 脂質, アミノ酸, 核酸の分解経路を説明できる.<D-1-1)-①②③>
18.糖質, 脂質, アミノ酸, 核酸の合成経路を述べることができる.<D-1-1)-①②③>
19.基本的な生体を構成する分子を列挙し, その構造と機能を説明できる.<D-1-1)-①②③>
20.歯の発生,発育および交換の過程を説明できる.<F-3-1)-①>
21.唾液の性状と役割を説明できる.(構成成分とその機能を含む.)<F-2-2-④>
22.唾液腺の構造と機能を説明できる.(分泌調節を含む.)<F-2-2-⑤>
23.主な口腔疾患(う蝕,歯周疾患,不正咬合)の予防を説明できる.<C-3-2-①>
24.炎症の定義を説明できる.(発症機序を含む.)<D-4-4)-①>
25.炎症細胞の種類と働きをを説明できる.<D-4-4)-②>
26.歯周組織の発生,構造および機能を説明できる.<F-3-1)-⑤>
27.代謝を統合的に理解し,説明できる.

授業計画

大項目中項目内容担当到達目標
1.イントロダクション歯科における生化学
前期予定,教科書
野間
2.医科遺伝学(1)遺伝学基礎
メンデルの法則,遺伝性疾患
堀口5
3.医科遺伝学(2)ゲノム変異と多型
変異,多型
1,5
4.医科遺伝学(3)統計遺伝学
単一遺伝子疾患,多因子疾患,連鎖,組換え
1,2,5,6
5.医科遺伝学(4)集団遺伝学
ハーディー・ワインベルグの法則,連鎖不平衡
1,2
6.医科遺伝学(5) 免疫遺伝学
免疫系による抗原認識,自己・非自己の区別,遺伝的多様性
1,5,6
7.医科遺伝学(6) 疾患遺伝学 (1)
先天性異常,ヘモグロビン異常
1,4,5,6
8.医科遺伝学(7) 疾患遺伝学 (2)
神経・筋疾患,ミトコンドリア異常症
1,5,6
9.口腔生化学(1)骨と歯の発生と分化の分子メカニズム(1)
硬組織の起源,体軸
三好10,11,13,16,20
10.口腔生化学(2)骨と歯の発生と分化の分子メカニズム(2)
骨・歯の形成とホメオボックス遺伝子
11.口腔生化学(3)結合組織の生化学(1)
コラーゲン,エラスチン,プロテオグリカン
13,16
12.口腔生化学(4)結合組織の生化学(2)
接着性タンパク質,細胞外マトリックス,上皮とケラチン
13.口腔生化学(5)骨と歯に特有な有機成分
骨・象牙質・セメント質の共通成分,エナメルタンパク質,象牙質シアロリンタンパク質
14.口腔生化学(6)骨と歯の無機成分
ヒドロキシアパタイト,エナメル質アパタイトの特徴,エナメル質の無機成分の特徴
15.口腔生化学(7)硬組織の形成と吸収
軟骨細胞・骨芽細胞・骨細胞・破骨細胞の分化と機能発現調節,骨のリモデリング,エナメル質.象牙質の形成
10,13,16
16.口腔生化学(8)石灰化の機構
血清中のカルシウムとリン酸の活動度積,骨の石灰化,エナメル質と象牙質の石灰化
13,15,16
17.口腔生化学(9)血清カルシウムの恒常性とその調節機構
血清カルシウムの恒常性,副甲状腺ホルモン,カルシトニン,ビタミンD
8,10,15,16
18.口腔生化学(10)唾液の生化学
唾液分泌のメカニズム,唾液の有機成分・無機成分,
9,10,15,19,21,22
19.口腔生化学(11)プラーク
ペリクルとプラークの形成,歯肉縁上・縁下プラーク,舌苔,歯石
15,16
20.口腔生化学(12)う蝕の生化学
う蝕発生のしくみ,う蝕の予防
10,15,16,23
21.口腔生化学(13)炎症と免疫
生体防御機構の構築,炎症・免疫細胞の発生・分化,炎症の経過と炎症細胞の機能,ケミカルメディエーター,免疫
野間10,19,24,25
22.口腔生化学(14)歯周組織と歯周疾患
歯周組織の構造と組成,歯周組織の破壊と再生
19,26
23.口腔生化学(15)がん(1)
細胞の増殖,がん細胞の特徴
10,11,12,13
24.口腔生化学(16)がん(2)
がん遺伝子,がん抑制遺伝子,発ガン因子
14
25.特別講義(1)生体における多糖類の機能
多糖類の構造と機能(1)
中田13,17,18,27
26.特別講義(2) 〃
多糖類の構造と機能(2)
27.特別講義(3)先天性代謝疾患
ライソゾーム蓄積病(1)
伊藤1,5,6, 17, 18, 27
28.特別講義(4) 〃
ライソゾーム蓄積病(2)
1,5,6,17,18,27
29.特別講義(5)モデル生物を用いた歯科医学研究
モデル生物の作出
松本1,5,6,7
30.特別講義(6) 〃
モデル生物の機能解析

成績評価の方法

評価は筆記試験により行い, 試験は3年次前期試験期間中に実施する.
100点満点で60点以上のものを合格とする.

再試験

行う.

教科書,プリント,参考書

教科書:「人類遺伝学ノート」徳永勝士・編, 2007年(南山堂)

教科書: 口腔生化学, 第4版, 2005年(医歯薬出版)

教科書:「マッキー生化学(第4版)」市川厚・監修,2010年(化学同人)

プリント: 必要に応じてプリントを配付する.

参考書: Essential 細胞生物学, 第2版, 2005年(南江堂)

参考書: イラストレイテッド ハーパー・生化学,(第27版), 2007年(丸善)

参考書: ヴォート生化学, 第3版, 2005年(東京化学同人)

参考書: レーニンジャーの新生化学, 第4版, 2007年(広川書店)

参考書: ストライヤー生化学, 第6版, 2008年(東京化学同人)

参考書: 歯と口と健康-生きるよろこびを支える口の科学, 初版, 1998年(医歯薬出版)

参考書: なるほど現代歯塾-健康で快適な生活のために, 初版, 2007年(医歯薬出版)

参考書: 病態栄養専門医テキスト-認定専門医をめざすために,日本病態栄養学会 編集,2009年(南江堂)

参考書: 医科遺伝学(改訂第2版), 松田一郎・監修, 1999年(南江堂)

参考書: 岩波生物学辞典, 第4版, 1996年(岩波書店)

参考書: 生化学辞典, 第4版, 2007年(東京化学同人)

参考書: 分子細胞生物学辞典, 第2版, 2008年(東京化学同人)

連絡先

野間(088-633-7325, ntaka@dent.tokushima-u.ac(no-spam).jp)
オフィスアワー: 月∼金 16:00-18:00/5F 分子医化学・第1研究室
三好(088-633-7326, miyoshi@dent.tokushima-u.ac(no-spam).jp)
オフィスアワー: 月∼金 16:00-18:00/5F 分子医化学・第2研究室
堀口(088-633-7326, thoriguc@dent.tokushima-u.ac(no-spam).jp)
オフィスアワー: 月∼金 16:00-18:00/5F 分子医化学・第2研究室