2011年度 歯学部 歯学科 学士課程 — 3年(後期)

衛生学/公衆衛生学 講義

Hygiene/Public Health/Preventive Medicine

教授・伊藤 博夫, 准教授・片岡 宏介, 助教・福井 誠, 教授・日野出 大輔, 非常勤講師・石本 寛子, 准教授・井﨑 ゆみ子

1単位

形態

講義

授業目的

個人と集団の両者を対象として,健康の保持・増進と疾病の予防の実現を図る衛生学の全体像を理解することにより,歯科医師法第1条で定められた``歯科医師の任務''を遂行するための,必須の素養を身に付ける.

授業概要

健康の概念を明確化し,その保持・増進(保健),すなわち疾病の予防から,生活の質(QOL)の向上のための方法論を総合的に学習する.人間集団の健康問題を社会ならびに環境との関係から分析し,問題解決法の立案,遂行,評価を行うための基礎を学習する.本科目においては,歯科医師以外の医療専門職にも共通して必須の,予防医学・保健学に関する事項を中心としつつ,ライフステージに応じた公衆衛生行政の枠組みの中での歯科保健の推進についても学習する.

授業テーマ

疾病の予防と健康の保持増進

授業方法

講義(教科書,プリント,スライド)および問題解決型授業の形式を適宜取り入れる.

授業場所

第3講義室

注意事項

試験は学生便覧の歯学部規則を満たしているものに対して行う.出席率が2/3以下の者,および2回以上無断欠席をした者は原則として受験を認めない. ①本授業では,毎回の講義事項のキーワードを提示している.受講者は各回のキーワードについて事前に予習して理解した内容を簡潔に纏めること. ②受講者は毎回抗火の後に学習成果を基にキーワードについて再度内容を簡潔に纏める事.また,予習時の内容と復讐時の内容を比較して,学習の成果を確認すること. ③予習復習ノートの提出を求める場合がある.予習,復習することが成績評価に含まれる.

到達目標(<>はコアカリ対応)

1.健康の概念を説明できる.<C-1-①>
2.疾病の概念,種類及び予防を概説できる.<C-1-③>
3.歯科医師法を説明できる<C-2-1)-①>
4.わが国の保健・医療制度を説明できる.<C-2-2)-①>
5.介護保険制度を説明できる.<C-2-2)-③>
6.社会福祉制度を説明できる<C-2-2)-④>
7.高齢者のおかれた社会環境を説明できる<C-2-2)-⑤>
8.障害者のおかれた社会環境を説明できる<C-2-2)-⑥>
9.ノーマライゼーションの考え方を説明できる<C-2-2)-⑦>
10.地域医療に求められる役割と機能および体制等,地域医療の在り方を概説できる.<C-2-2)-⑧>
11.地域における保健・医療・福祉・介護の分野間の連携および他職種間の連携の必要性について説明できる<C-2-2)-⑨>
12.環境による健康への影響を説明できる.<C-2-3)-①>
13.環境基準と環境汚染を説明できる.<C-2-3)-②>
14.第一次,第二次及び第三次予防を説明できる.<C-3-1)-①>
15.プライマリ・ヘルス・ケアとヘルス・プロモーションを説明できる.<C-3-1)-③>
16.ライフステージにおける予防を説明できる<C-3-2)-③>
17.集団レベルの予防と健康管理(地域保健,学校保健,産業保健)を説明できる.<C-3-2)-④>
18.主な保健医療統計(人口動態・静態統計,患者調査,医療施設調査,医師・歯科医師・薬剤師調査,歯科疾患実態調査,学校保健統計調査)を説明できる.<C-4-2)-①>
19.主な健康指標(平均寿命,平均余命,新生児・乳幼児死亡率)を説明できる.<C-4-2)-②>
20.感染症の予防策と流行の拡大防止策について説明できる.
21.国民の栄養と食品の安全についての問題点と制度を概説できる.
22.ストレスと精神保健の関係,および精神保健福祉活動の現状と動向を説明できる.

授業計画

大項目中項目内容担当到達目標
1.序論衛生学・公衆衛生学の領域
健康の定義,衛生学とは,疾病・障害の定義,疾病の自然史,予防の3相5段階,
伊藤1,2,3,14,15
2. 〃健康の測定と健康指標
健康水準,健康指標,種々の比率,人口静態・動態統計,生活と健康,公衆衛生
18,19
3.疾病予防と健康管理1. 生活習慣病の予防
生活習慣病の予防,リスクファクター,健康管理,悪性新生物,心疾患,脳血管疾患,健康増進,
片岡2,15
4. 〃2. 感染症の予防
感染症成立の条件,予防と流行防止対策,輸入伝染病,院内感染,感染症新法,
2,18
5.環境予防医学1. 環境と健康
地球環境の変化,環境の評価,物理的,化学的,生物学的環境要因
12
6. 〃2. 空気と水
空気の衛生と大気汚染,水の衛生と水質汚濁,下水,
福井12,13
7. 〃3. 環境保全
環境基本法,環境基準,廃棄物処理,医療廃棄物,リサイクル
13
8.食生活と健康国民栄養
食品保健
栄養所要量,国民栄養の問題点,肥満,食品の成分,食品の安全性,添加物,食中毒,保健機能食品
日野出19
9.地域保健と公衆衛生活動(地域保健行政)公衆衛生活動のしくみと歯科公衆衛生/地域歯科保健
わが国の保健・医療制度,地域保健法,保健所,市町村保健センター
伊藤4,16,17
10. 〃母子保健と母子歯科保健制度
母子保健法,児童福祉法,妊産婦健診,1歳6か月児・3歳児歯科健診,妊産婦・乳幼児の歯科保健
片岡
11. 〃学校保健と学校歯科保健制度
学校保健関係職員,学校歯科医,学校保健委員会,保健教育,保健管理,組織活動
伊藤
12.地域保健と衛生行政学校保健・精神保健(特別講義)
学校保健,学校における精神保健:心のメカニズム,ストレスと精神疾患,精神保健福祉活動(メンタルヘルスケア)
井﨑20
13.地域保健と公衆衛生活動(地域保健行政)産業衛生と産業歯科保健
労働安全衛生法,産業歯科医,職業性疾患,作業環境管理,定期健診,特殊健診,トータルヘルスプロモーション
福井4,16,17
14. 〃高齢者のための保健医療システム
法規,QOL, ADL, 高齢者の口腔保健管理,介護保険法,介護予防
伊藤4,5,6,7,8,9
15.地域保健と衛生行政自治体の公衆衛生活動(特別講義)
プライマリー・ヘルス・ケア,ヘルスプロモーション,集団アプローチ,ハイリスクアプローチ,わが国の保健・医療制度,地域保健
石本4,15,17

成績評価の方法

全授業の終了後,筆記試験を行う.筆記試験の得点が満点の60%以上の者を合格とするが,出席実績および授業中で出すレポート課題等の提出実績と内容を総合的に評価した日常点を加味して最終成績とし,これが60%以上であれば筆記試験60%未満でも合格とする.

再試験

1回だけ実施する.再試の評価に日常点は加味されない.

教科書,プリント,参考書

※注)指定教科書を購入して授業に出席すること.

指定教科書:シンプル衛生公衆衛生学2011,鈴木庄亮,久道茂 編,南江堂 2,400円

参考書:スタンダード衛生・公衆衛生,飯塚喜一ほか編,学建書院 5,500円

参考書:スタンダード社会歯科学,石井拓男ほか編,学建書院 4,500円

連絡先

伊藤(088-633-7336, itohiro@dent.tokushima-u.ac(no-spam).jp)
オフィスアワー: (月・水・金16:00∼17:00/5F 予防歯学・教授室)
片岡(予防歯学, 088-633-7337, kataoka@dent.tokushima-u.ac(no-spam).jp)
オフィスアワー: (月∼木 16:00∼17:00, /5F 予防歯学・第1研究室)
福井(088-633-7337, fmakoto@dent.tokushima-u.ac(no-spam).jp)
オフィスアワー: (月∼金 16:00∼18:00, /5F 予防歯学・第1研究室)