2011年度 総合科学部 人間文化学科 国際文化コース 学士課程 — [選択] 2年(後期)

英米文学講読Ⅰ

教授・宮崎 隆義

2単位

目的

主として19世紀のイギリス小説を取り上げて精読する.小説という,言語による虚構の芸術構造物,物語の世界,すなわち嘘の世界を,いかに豊かに味わうことができるものか,また知的にも分析することができて,人間の本質的な能力に関わる想像力がいかに広い分野に影響力を及ぼし得るものかを,具体的に作品に触れることによって理解してゆきたい.作品自体が持つ様々な問題に対して多角的なアプローチを試みるばかりでなく,その作品の時代背景にも目を向け,当時の風俗や生活習慣,時代思潮など,広い視野からの理解を目指したい.

概要

19世紀のイギリス小説を読む.より広い視野のもとに,イギリス文学を生み出したイギリスという国の理解も含めて様々な多角的アプローチを試みるが,特に,19世紀の小説家トマス•ハーディの短編を読みながら,当時の結婚をめぐる制度や,因襲的な考え方,宗教,時代思潮,風俗,女性の置かれていた立場などを考えてみたい.作品の理解を通して,虚構の世界から,現実の世界を逆照射しつつ,普遍的な問題である男女の恋愛と結婚の問題を時代のコンテクストの中に置いて理解してみたい.

キーワード

作品講読,分析,批評の方法

注意

作品を緻密に読むことから広く物語の方法について視野を拡げることを心掛けてほしい.

目標

1.作品の理解を通して,虚構の世界から,現実の世界を逆照射しつつ,普遍的な問題を時代のコンテクストの中に置いて理解してみたい.

計画

1.第1回 イントロダクション
2.第2回 作品の講読と鑑賞並びに批評の方法(読むということ)
3.第3回 作品の講読と鑑賞並びに批評の方法(物語の技法)
4.第4回 作品の講読と鑑賞並びに批評の方法(批評の歴史)
5.第5回 作品の講読と鑑賞並びに批評の方法(読みから批評へ)
6.第6回 Thomas Hardyの短篇小説について(傾向について)
7.第7回 Thomas Hardy の短篇小説について(技法の特徴)
8.第8回 ``What the Shepherd Saw''1(背景と成立)
9.第9回 ``What the Shepherd Saw''2(発表事情)
10.第10回 ``The Son's Veto''3(構成の特徴)
11.第11回 ``What the Shepherd Saw''4(技法)
12.第12回 ``What the Shepherd Saw''5(時間の扱い)
13.第13回 ``What the Shepherd Saw''6(テーマ)
14.第14回 ``What the Shepherd Saw''7(解釈と批評)
15.第15回 物語と批評の方法
16.第16回 総まとめ

評価

日常の授業参加態度,レポート提出状況によって総合的に判断する.

再評価

あり.

教科書

テキストはハンドアウトとして用意する.

参考資料

参考書・参考資料・参考文献等については適宜授業時に紹介する.

連絡先

宮崎(総合科学部1号館3階北棟 3309, 656-7131, miyazaki@ias.tokushima-u.ac(no-spam).jp)
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