科学と人間
目的
現代社会において科学技術と付き合っていくために必要な,多面的な思考方法を学ぶ.
概要
「科学は客観的で価値中立的である」という通俗的な見方がある.たしかに,ある観点から自然を理解しようとするとき,科学的方法は客観的な指針を示してくれる.しかし,科学の前提となる観点自身の是非については,通常の場合,科学はそれを評価することができない.この授業では,科学を導くそうした「前提」の部分を問い直していきたい.そうすることで,科学に過剰に期待することなく,また逆に科学を軽視するのでもなく,妥当な評価を下すことができるであろう.その上ではじめて,科学的な思考法そのものを身に付けることもできる. 講義では,優生思想,エセ科学,自然保護などのトピックを取り上げる.たとえば優生思想は,「優れたもの」を増やし「劣ったもの」を絶やすことで社会を改良しようとする観点から作り出された.これは一概に「悪の思想」と言い切れるだろうか.また,昨今「自然保護」が叫ばれるが,保護すべき「自然」とは,具体的には一体何なのか.「自然」概念の中に,抜きがたく人間的な観点が入り込んでいるのではないか.科学について批判的・反省的な視点から学びなおすことで,「エセ科学」にだまされない思考力,さらには科学とエセ科学の境界についても考えてもらいたい. 講義は「優生思想:自分の中の差別意識」,「エセ科学:あなたもだまされています」,「環境問題:「自然」とは何か?」の三セクションに分かれ,それぞれのセクション終了時に総括を行う. 毎回,講義を受けての学生のコメントを収集し,主だったものについて翌週に回答することで,受講する学生の全員が授業に参加できるようにする.また,毎回,マークシートを利用した小テストを行い,成績評価に利用する. 授業で使用したファイルや資料はウェブページに掲示するので復習などに利用すること.ウェブページには自宅学習を支援するための「クイズコーナー」なども設置する予定. また,ウェブに掲示板を設け,連絡事項などを掲示するので,毎週確認すること.また,質問などがあれば利用すること. 授業ウェブサイトURL http://web.ias.tokushima-u.ac.jp/shin-kokusai/scienceandhumanity/top.html
キーワード
優生学,生命倫理,エセ科学,環境
注意
レポートや授業への質問などは原則的にメールを使って提出してもらいます.メールやパソコンの使い方などが分からない学生はオフィスアワーなどを活用して早めに習得すること.
目標
1. | この授業では,「情報リテラシー」を身につけることを目標とします. |
2. | また,「日本語で論理的文章を書く能力」の基礎を身につけることを目標とします. |
計画
1. | 担当教員紹介・授業の進め方の説明・導入講義(山口) |
2. | 優生学とナチスの犯罪(今井) |
3. | 「優生学=ナチス」か?(今井) |
4. | 遺伝子操作と生殖補助技術(渡部) |
5. | 「新優生学」の流行(山口) |
6. | 第一セッションのパネルディスカッション |
7. | 誤解と誤信の心理学(内海) |
8. | 科学とエセ科学のあいだ(小山) |
9. | 江戸のエセ科学(桑原) |
10. | 第二セッション総括・レポートの課題発表・レポートの書き方講座(山口) |
11. | ゴミとリサイクルの虚実(三好) |
12. | 江戸時代の「自然」概念(桑原) |
13. | 「自然」とは何か(山口) |
14. | 第三セッションのパネルディスカッション |
15. | レポートの解説,総括アンケート,授業評価アンケート,学部共通科目アンケート |
評価
授業へのコメント,レポート,小テスト,授業への取り組みやディスカッションでの発言などによって総合的に評価する.配分は,メールでのコメント10%,レポート20%,小テスト70%.ボーナス加点として,ディスカッションでの発言は一回2点,よいメールコメント1回1点(最高7点まで).「授業への取り組み」の評価として,無断欠席や遅刻,授業中の内職・居眠りなどは減点対象.基準として,授業中の悪質な態度(内職・ゲーム・携帯メールなど)は減点5,遅刻は-2,居眠りは-1.3分の1以上の欠席は不可(再履修)
再評価
行わない
教科書
特になし.
参考資料
ウェブページを通じて紹介・配布します.
連絡先
- オフィスアワー: 火曜日・木曜日の昼休み
- オフィスアワー: 火曜16:30∼18:00
- オフィスアワー: 火曜10:30-11:30