社会的行為の理論
目的
理論とは物事についての見(え)方や考え方であり,社会理論を学ぶことによって,人間や社会についての見(え)方や考え方が豊かになると言える.本講義では現象学的社会学の視点も念頭に置きつつ,「意味の獲得と伝達」「意味をめぐる闘争」「意味の生成」というように,意味を基軸とした3つの側面から社会に切り込んでいく. また,そうした意味をめぐる問いが,身体なき精神のような主体ではなく,身体的存在としての人間を通じて為されるべきであるとする趨勢も強調しておきたい.この意味で,いわゆる「身体の社会学」の議論にも眼を向ける. そして,社会理論を考察や分析においてどう活かすかを実践的にも学ぶ.そのために,いくつかトピックを取り上げ,それについて受講者が自分で考える時間を設ける.本講義を通じて,社会理論のおもしろさを受講者と共有できれば幸いである.
概要
基本的に講義形式で,社会や人間について理解し,考察するための諸理論を学習する.本講義で言及する主な論者としては,G.H.ミード,M.フーコー,P.ブルデュなどが挙げられる.できるだけ原典を読み解くことを心掛け,理論の背景をも意識していきたい. 途中4回ほど,ジェンダーやファッションなどを含む身近なトピックに関して概説したうえで,課題を出し,受講者が自分で考察する時間を設ける予定である.うち,1回は,近未来を描いた映画を題材に,社会や人間の今後をともに考えたい.
キーワード
意味,身体,自己,他者,権力,現象学
注意
出欠確認は毎回行う.
目標
1. | 社会理論の読解力を養う. |
2. | さまざまな問題について自分で考える力を身につける |
計画
1. | 社会学における「意味」と「身体」の意義 |
2. | 意味の獲得と伝達(1)幼児にとっての世界と社会化 |
3. | 意味の獲得と伝達(2)自我とアイデンティティ |
4. | 意味の獲得と伝達(3)相互行為と地位・役割 |
5. | 自己・他者を考える-考察1 |
6. | 意味をめぐる闘争(1) 権力と知 |
7. | 意味をめぐる闘争(2) 身体-権力と生-権力 |
8. | ジェンダーを考える-考察2 |
9. | 意味の生成(1) 構造と主体 |
10. | 意味の生成(2) 社会空間と身体 |
11. | 意味の生成(3) 間主観性 |
12. | ``近未来''を考える -考察3 |
13. | 社会学と現象学(1) 現象学的社会学の視点 |
14. | 社会学と現象学(2) 現象学的身体論 |
15. | ファッションを考える - 考察4 |
評価
出席点(10%)+レポート(70%)+ミニペーパー(20%)で評価する.ミニペーパーは,考察(全4回)の際に書いてもらうものを指す.
再評価
おこなわない
教科書
なし
参考資料
N.クロスリー著(西原 和久監訳)『社会学キーコンセプト-「批判的社会理論」の基礎概念57』新泉社,2008.ほか,随時指示する.
連絡先
- オフィスアワー: 集中講義期間中適宜.