2011年度 総合科学部 人間文化学科 心理・健康コース 学士課程 — [選択] 2年(後期)

知覚心理学

教授・濱田 治良

2単位

目的

私たちを取り巻いている物理的環境と私たちが見聞きした結果である主観的な知覚的世界の間には大きな違いがある.私たちは外界·環境をどのように知覚しているのであろうか?この講義では認識や行動の出発点である知覚の基礎について出来るだけ平易に論じ,未知なる人間,我々自身を理解するための科学的試みを紹介する. その為に,代表的な錯視現象を通して「人間が外界をいかに知覚し,認識しているのか」を論じ,科学の歴史をたどりながら錯視の成立機序とその意義を考察する. ところで,錯覚や錯視は私たちの目の不完全さを示しているのではなく,人間の知覚の機能の素晴らしさを示している.日常生活で経験する知覚現象を網膜の神経構造との関連で考察する. また,客観的な刺激と主観的な感性の間には一定の規則的な関係がある.心理学的実験及びその方法を説明し,理論的考察から導き出された幾つかの法則を時代を追いながら説明する.

概要

人間は外界をどのように見ているか?

注意

テストを実施する.また,知覚心理学の実験を行いレポート提出を求める.

目標

1.様々な視覚現象を通して物理的刺激と心理的反応の間に介在する機構を理解し,人間特有の知覚の仕方を理解する.

計画

1.マッハ·バンド
2.側方抑制
3.主観的輪郭線
4.明るさの同時対比
5.明るさの対比と同化
6.明るさの恒常性
7.幾何学的錯視
8.幾何学的錯視における対比と同化
9.眼球運動と静止網膜像
10.感覚遮断
11.明暗順応
12.網膜の構造
13.三原色説
14.反対色説
15.色覚の段階説

評価

中間試験,期末試験,レポート及び出席状況によって評価する.

再評価

行わない.

教科書

資料を配付する.

参考資料

大山 正著「視覚心理学への招待」サイエンス社, 松田隆夫著「視知覚」培風館, 金子隆芳著「色彩の心理学」岩波新書, メッツガー著·盛永四郎訳「視覚の法則」 岩波書店を推薦する.

連絡先

濱田(3S02, 088-656-7195, hamada@ias.tokushima-u.ac(no-spam).jp)