2011年度 総合科学部 人間社会学科 欧米言語コース 言語表現サブコース 学士課程 — 2年(前期)

2011年度 総合科学部 人間社会学科 欧米言語コース 言語コミュニケーションサブコース 学士課程 — 2年(前期)

ドイツ言語文化研究III (その1)

准教授・井戸 慶治

2単位

目的

第一次大戦時の在日ドイツ・オーストリア人捕虜の活動や日本人との交流について知り,異文化間の交流や戦争,「国民性」(他国人によって感じられた「国民性」と,自国民について感じている「国民性」の相違など)について考える手掛かりとする.

概要

第一次大戦における日本の青島攻略(1914年)により,ドイツ人とオーストリア人の捕虜約5000人が日本各地に抑留された.とりわけ徳島県にあった板東俘虜収容所では,捕虜たちの文化的・社会的な諸活動や地元住民との交流がさかんにおこなわれ,彼らによってベートーヴェンの第九交響曲全曲が日本ではじめて演奏された.この授業では,当時の日本各地の収容所(前期は特に九州・四国の収容所)における捕虜の活動や日本側の対応などについて,最近発見された資料なども用いてさまざまな事実を紹介し,これについて,日独交流史や捕虜待遇の歴史という,より広いコンテキストも視野に入れながら,多面的な考察の材料を提供する.

キーワード

異文化間交流,第一次世界大戦,捕虜

注意

特になし.

目標

1.人口に膾炙し,時には美化された「伝説」によるのではなく,客観的な事実や資料に即して,ドイツ・オーストリア人捕虜の諸活動や日本側の対応について正確な知識を得る.
2.共時的,通時的なより広いコンテキスト(第一次大戦中の各国の捕虜待遇や,捕虜待遇史,日独交流史など)の中で,当時の日本による捕虜待遇や捕虜たちの活動,彼らをめぐる文化交流の位置づけを知る.

計画

1.授業方針などの説明
2.日独交流史概略1 江戸時代から明治中期まで
3.日独交流史概略2 明治後期以降
4.ドイツの膠州湾租借と第一次大戦までの青島
5.青島戦の概略
6.ドイツ人捕虜収容の概略
7.九州の収容所1 久留米
8.九州の収容所2 久留米,熊本
9.九州の収容所3 福岡
10.九州の収容所4 大分
11.四国の収容所1 松山
12.四国の収容所2 丸亀
13.四国の収容所3 徳島
14.四国の収容所4 板東
15.予備
16.総括授業

評価

レポートと普段の授業への取り組みで総合的に評価する.

再評価

おこなわない.

教科書

教科書は使わず,適宜プリントを配布する.

参考資料

授業中にプリントを配布し,視聴覚資料などを示し,参考文献の指示もおこなう.

連絡先

井戸(ido@ias.tokushima-u.ac(no-spam).jp)
オフィスアワー: 火曜日14時30分から16時まで
ido@ias.tokushima-u.ac.jp