2011年度 総合科学部 人間文化学科 学士課程 — [選択] 1年(後期)

文化研究の基礎

Introductory lecture of cultural research

教授・田島 俊郎, 教授・石川 榮作

2単位

目的

文化とはある人間の集団,民族や国民や,部族のような人々の集まりの構成員に共有される約束ごとをいう.大はいわゆる民族や部族のような地域的,政治的グループであっても,学生,会社員,医者,などの職業や年齢などによる比較的小さなグループ,さらに遊び仲間のようなごく小さなグループであっても,そのグループに独特の約束ごとはもっている.そういった約束ごとの総体を文化と呼ぼう.文化を共有するかどうかで,共同体に受け入れられ,あるいは排除されることがある. 文化は時に部外者には不合理で不可解なものに見える.さらに集団のなかで共有された規約であるはずなのに集団の構成員自身にも不可視であることがある.不可視な文化的約束ごとは,内部の人間にとっても不合理で不可解であることもある.そういった文化を約束ごととして認識していくことが,文学や言語学,哲学,美学,文化人類学などが文化研究の方法である.

概要

前半に田島が文化を観察し分析する方法論について述べ,後半には石川が,ドイツ文学やオペラ,映画を題材に具体的に分析する. 田島は言語学,文化人類学,レトリック論,文学など,文化を読み解く手法について概観する. 石川は,5,6世紀のゲルマン民族移動時代にその伝説が生まれたとされる英雄ジークフリートを取り上げ,この人物を主人公とした英雄叙事詩『ニーベルンゲンの歌』やワーグナーのオペラ,ウーリー・エデル監督の映画の特質を探っていく.

キーワード

文化,文学,オペラ,言語学

注意

コメントや質問などは大いに歓迎します.授業への積極的な参加を期待します.

目標

1.分析の方法について学び,実際の表現方法の諸相にも触れることによって,文化を研究するための基礎を築き上げる.

計画

1.文化とは何か,文化を研究するとは
2.ことばと文化
3.ことばで世界を切りわける
4.文化人類学,野生の思考
5.レトリック,隠喩と換喩
6.文学の方法
7.文学は世界の見方を提示する
8.ドイツ英雄叙事詩『ニーベルンゲンの歌』(1)
9.ドイツ英雄叙事詩『ニーベルンゲンの歌』(2)
10.ドイツ英雄叙事詩『ニーベルンゲンの歌』(3)
11.ドイツ英雄叙事詩『ニーベルンゲンの歌』(4)
12.ワーグナーのオペラ『ジークフリート』
13.ワーグナーのオペラ『神々の黄昏』
14.ウーリー・エデルの映画『ニーベルングの指環』(1)
15.ウーリー・エデルの映画『ニーベルングの指環』(2)
16.レポート

評価

レポートおよび授業への参加貢献の程度による

再評価

なし

教科書

資料を提示,配布する.石川の授業ではプリントを配布するほか,石川栄作訳(新訳『ニーベルンゲンの歌』前編,ジークフリートの暗殺,ちくま文庫)を使用する.

参考資料

授業中に紹介する.

連絡先

石川(088-656-7142, ishikawa@ias.tokushima-u.ac(no-spam).jp)
オフィスアワー: 金曜日15時から16時
田島(088-656-7144, tajima@ias.tokushima-u.ac(no-spam).jp)
オフィスアワー: 田島俊郎:木曜日12時から13時まで