国際関係論I
教授・饗場 和彦
2単位
目的
米ソがにらみ合った冷戦中は,明日にも第三次世界大戦が起き,核兵器により地球が壊滅しかねない恐怖があった.89年,米ソ首脳が握手をかわし,幸運にも人類は冷戦を脱した.ポスト冷戦時代は安定した幸せな世界が到来すると期待したが,まもなく幻滅が広がった.噴出する内戦·民族紛争と,拡大する貧富の格差.新たな試練に苦闘するうちに世紀が変わると,9/11テロの衝撃が世界を揺るがした.そして今,アフガン戦争,イラク戦争と暴走するアメリカに振り回され,国際社会はいったい,どこに行こうとしているのか.この授業では,こうした変動する現代国際社会の現実を知り,そこで生起する諸問題について,特に平和と戦争に関係する観点を中心に,考察する.
概要
国際社会における平和と戦争をめぐる諸相を学ぶ.授業では国際関係のリアリティをつかんでもらうためにも,筆者のフィールドワーク(紛争地での調査や国際的な選挙支援活動など)や,新聞記者の経験などに基づく"教科書に載っていない"解説も試みたい.また,適宜,時事的な国際ニュースも取り上げ,ビデオやスライドも使う.国際関係論Iでは,主に総論的,理論的,概念的な問題を扱う.
注意
国際関係論IとIIはそれぞれ独立しており,一方だけ受講することもできるが,Iで総論的,基礎的な解説を行い,IIではそれを元に各論的,発展的な内容になる面もあるので,連続して受講する方が望ましい.
目標
1. | 国際社会の性質,特徴を理解すること. |
2. | 平和と戦争をめぐる現代の諸問題について,基本的な事実関係,実態を知ること. |
3. | 国際政治と国際法の基本について,とらえ方,原理,原則を把握すること. |
4. | 「冷静な現実主義」と,「高邁な理想主義」の両方を備えた視点を持つこと. |
計画
1. | (日) 国際社会の成り立ちと特徴(1) |
2. | (日) 国際社会の成り立ちと特徴(2) |
3. | 国際法の基本(1) |
4. | 国際法の基本(2) |
5. | 国際社会を見る理論的枠組(1) |
6. | 国際社会を見る理論的枠組(2) |
7. | 国際安全保障の諸理論(1) |
8. | 国際安全保障の諸理論(2) |
9. | 民族とアイデンティティ(1) |
10. | 民族とアイデンティティ(2) |
11. | 民族紛争(ルワンダ,旧ユーゴ,コソボなど)(1) |
12. | 民族紛争(ルワンダ,旧ユーゴ,コソボなど)(2) |
13. | 戦争の違法化(1) |
14. | 戦争の違法化(2) |
15. | 補足と総括 |
16. | 試験 |
評価
授業の区切りごとに質問や意見を書いて出してもらうが,それらで出欠の確認も行う.試験は論述式(短答式と長文論述併用)の期末試験を行う.持ち込み不可.成績は試験の結果に,出席状況,授業中の質疑応答などを加味して判断する.
再評価
行わない.ただし,僅差で合格点に達しない受講者には,一定基準以上のレポートを追加提出すれば単位を認定する機会を与える.
教科書
教科書は特に指定せず,授業中に配布するレジュメ,資料に沿って解説する.参考書などは適宜,紹介する.
連絡先
- オフィスアワー: 木曜日13:30∼14:30,金曜日14:30∼16:00.この時間以外でも在室時は随時可.