2011年度 総合科学部 人間社会学科 国際文化コース 文化情報サブコース 学士課程 — 2年(後期)

2011年度 総合科学部 人間社会学科 国際文化コース 哲学·思想サブコース 学士課程 — 2年(後期)

2011年度 総合科学部 人間社会学科 国際文化コース 歴史·社会サブコース 学士課程 — 2年(後期)

社会思想研究

教授・石田 三千雄, 准教授・山口 裕之

2単位

目的

環境倫理学を通じて,倫理学の基本的な考え方を理解する. 現代社会における「倫理的問題」は,単に思想や価値観の問題であるだけでなく,「社会的問題」でもあることを理解する. 環境倫理学のトピックス,その思想的背景,現代の環境倫理学の幾つかの潮流を取り上げ,現代の環境問題を考えるための基本的な知識を身につける. その上で,自分なりの調査に基づくレポートで意見をまとめる力を身に付ける. レポートをもとに意見を発表し,討議する力を身に付ける.

概要

「環境倫理学」という新興の学問分野の成立と展開を追い,そこで論じられてきた多様なトピックや事例を紹介し検討する.

キーワード

哲学,倫理学,環境,社会と自然

目標

1.人文科学(環境倫理学)に関わる幅広い知識の理解を目標とする.
2.日本語で論理的文章を書くことができる能力の養成を目標とする.
3.高い倫理観の涵養を目標とする.

計画

1.イントロダクション:「環境倫理学」を学ぶことの意義(石田・山口)
2.環境倫理学の系譜(1):環境倫理学成立の背景:1950∼60年代の環境破壊と自然保護思 想の台頭(山口)
3.環境倫理学の系譜(2):環境倫理学の源流:一九世紀ロマン主義の思想(山口)
4.環境倫理学の系譜(3): 「自然の権利」論を中心に:クリストファー・ストーンの「樹 木の当事者適格」論文とアマミノクロウサギ訴訟(山口)
5.環境倫理学の系譜(4):「動物の解放」論を中心に:動物虐待防止法からピーター・シ ンガーの「動物の解放」まで(山口)
6.地球温暖化問題の成立(1):地球寒冷化論と温暖化論:酸性雨問題からフィラッハ会議まで(山口)
7.地球温暖化問題の成立(2):フィラッハ会議後の展開:地球温暖化問題の国際問題化と冷戦の終結(山口)
8.地球温暖化問題の成立(3):IPCCの成立と気候変動枠組み条約の締結:新たな国際枠組みの模索(山口)
9.地球温暖化問題の成立(4):京都議定書とその後の展開
10.アルネ・ネスのディープ・エコロジーの思想を講じる.シャロー・エコロジーと区別されるディープ・エコロジーの思想を,その綱領やディープ・エコロジー運動の重層構造,エコフィロソフィーとエコソフィー,自己実現との関連で講じる(石田).
11.マレイ・ブクチンのソーシャル・エコロジーの思想を講じる.ソーシャル・エコロジーによるディープ・エコロジー批判,位階性の批判,自然の進化と社会の進化,リバタリアン的な地域自治主義を講じる(石田).
12.ドイツの環境政策を講じる.1970年代以降のドイツの環境政策を概観した上で,地方自治体の環境政策としてのフライブルク市の環境政策,ノルトライン・ヴェストファーレン州のヴッパータル気候・環境・エネルギー研究所のプロジェクト「ファクター4」を講じる(石田).
13.ミッシェル・セールの自然契約に思想を講じる.自然は果たして権利の主体になりうるか.人間と自然との関係を寄生関係から共生関係へ変えることは可能か,等を論じる.(石田)
14.ドイツの環境思想家マイアー=アービッヒの『自然との和解への道』で述べられた,実践的自然哲学を講じる.政治の主題としての「自然との和解」が環境政策の哲学的・倫理学的基礎づけとなること,自然の理解は広い意味で法の中で論じられること,人間中心主義に対する哲学的・倫理学的批判をカントの思想との対決の中で論じ,自然中心主義的世界像から,自然としての人間,自然の法共同体を講じる.(石田)
15.「環境倫理学の現代的課題」まとめ:ディスカッション(石田)

評価

毎回の授業の最後に記入する「一言カード」2点×15=30点,レポート2回=70点.

再評価

行う.

教科書

その都度資料を配付する.

連絡先

山口(共通教育4号館404(11年3月まで), 088-656-7615, yamaguti@ias.tokushima-u.ac(no-spam).jp)
オフィスアワー: 火曜10:30-11:30
石田(2328, 088-656-7147, mishida@ias.tokushima-u.ac(no-spam).jp)
オフィスアワー: 水曜日14時∼15時