線形代数学II
教授・伊藤 正幸
2単位
目的
線形代数学は,理系大学生にとって基礎知識であり,一般大学生にとっても一般教養といってよい学問である.それは,この学問が具体的に扱うものが,一見,中学校で習う連立一次方程式にすぎないが,知識と論理の整理をすることによって,理系のみならず,ほとんど全ての知的領域・分野における数学的な構造の理解に通じるからである.数理科学の基礎IIIや線形代数・演習Iで,基礎的な計算や取り扱いを学んで来たので,この講義では,線形構造がいかに普遍的にとらえられるかを学ぶ.
概要
個々のベクトルや,行列の性質を学んできた学生を対象に,線形空間や線形写像など,より俯瞰的に数学対象をとらえることを目的とする.比喩的にいえば,「お母さん」や友達の「太郎君」として人間を認識してきた子供が成長する過程で「日本国民」や「社会人」といった概念を獲得するようなものである.獲得すべき対象概念は,「線形空間」と「線形写像」であり,幾何学的視点を持つ「内積空間」も対象となる.授業は,講義形式で演習も随時織り込み上記のテーマ順に進める.
キーワード
ベクトル空間,線形写像,内積
先行科目
関連科目
注意
この授業は,線形代数学I引く続く内容である.したがって,線形代数学I を先に受講しなければならないので注意すること.
目標
1. | 数学独特の「対象の抽象化」という方法になれること. |
2. | そのためには,一見無味乾燥であるが厳密な推論技術を取得すること. |
計画
1. | 行列,行列式の復習 |
2. | 行列式の幾何学的意味 |
3. | 線形空間 |
4. | 部分空間 |
5. | 部分空間の例 |
6. | 一次独立性 |
7. | 基底 |
8. | 次元定理 |
9. | 線形写像 |
10. | 核と像 |
11. | 同型写像・線形変換 |
12. | 表現行列 |
13. | 基底の変換 |
14. | 内積 |
15. | 期末試験 |
16. | 総括授業 |
評価
授業中の演習に対する積極的な取り組み,レポート,期末試験を総合的に評価
再評価
行わない.
教科書
教科書:守安一峰,小野公輔 著「理工系の線形代数学入門」サイエンス社
参考資料
基礎講座 線形代数学 仁木著 培風館
連絡先
伊藤(総合科学部1号館1220, 088-656-7219, mas-ito@ias.tokushima-u.ac(no-spam).jp)
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