2008年度 総合科学部 人間社会学科 アジア研究コース 日本文化研究サブコース 学部課程 — 2年(通年), 3年(通年)

2008年度 総合科学部 人間社会学科 アジア研究コース アジア研究サブコース 学部課程 — 2年(通年), 3年(通年)

日本文学基礎研究II

准教授・堤 和博

4単位

目的

日本文学のうち,平安時代の文学作品を読解する際,また,資料として扱う際の方法及び留意点を,『紫式部日記』を主たる具体例として取り上げて講義する.他の作品にもなるべく多く言及する予定である.平安時代に限らず,古典の文学作品は,近現代の作品とはかなり違った性格を備えているので,留意する点も多種多様に亘る.それらをいくつかのテーマに分けて講じていく.また,平安時代の日本文学に触れるとすれば,当然文字で書かれたものを媒体とすることになる.そしてそれは,印刷技術が発達する近世までは,もっぱら写本ということになるのである.学生諸君が今まで接してきた古代の文学作品は,教科書にせよ注釈書にせよ,活字に直されたものであったはずである.それらのものは,その注釈書等を執筆した学者が各自の見識に基づき,写本(または,版本)をもとにして活字化したものなのである.本授業では,活字化されたものではなく,写本(または,版本)を資料として古代の文学作品を読解する力を養成することも目指す.よって,変体仮名を読む練習も含まれる.

概要

日本古典(特に平安時代)文学研究の基礎

キーワード

日本古典文学,古代,解釈,紫式部,紫式部日記

注意

この授業においては,多く変体仮名を読むことになる.変体仮名を読む練習は夏休み中に各自で行うこと.(練習するにあたっての留意事項等は,夏休み前に指示する )

目標

1.日本古典(特に平安時代)文学を研究する上での基礎的な知識·能力を得る.3,4年次に日本古典文学を専攻する予定のない学生については,日本古典文学を学ぶことによって,知的な能力の向上を目指す.

計画

1.授業の概要は次のようなものになる.(順序は入れ替わるかも知れない)
2.(1) 本の伝来について-基礎的な書誌学·伝本発生の由来等-
3.(2) 作品の成立について-近現代の作品とは違った成立過程-
4.(3) 作家論-平安時代の作家について研究する方法·資料等-
5.(4) 解釈法-古典作品を解釈する基本的な方法-

評価

数度に亘って課すレポート(期末に試験を行うこともある)

再評価

行わない

教科書

中野幸一編『紫式部日記·付紫式部集』(武蔵野書院)

秋山虔編『黒川本紫日記(上)』(笠間書院)

秋山虔編『黒川本紫日記(下)』(笠間書院)

参考資料

『原典をめざして-古典文学のための書誌』(笠間書院)

『日本古典籍書誌学辞典』(岩波書店)

連絡先

堤(1315, tsutsumi@ias.tokushima-u.ac(no-spam).jp)
オフィスアワー: 月曜日 10時10分から11時55分