国際文化基礎演習 (その1)
目的
現代世界の抱える諸問題から一つのテーマを選び出し,それをめぐって共同で調査し,それにもとづいて報告,討論を行う「能動的に参加し,互いに学び合う」少人数型授業です.自分たちで資料を見つけ出し,得られた情報を整理して報告にまとめ,活発に討論を行うという,現代の社会人に必須の技法も学びます.また,「情報処理演習」で学んだ技法をプレゼンテーションにおいて生かす場でもあります.
概要
この科目は(火)1・2講時と(水)5・6講時に開講されます.どちらの時間も最初の3回は,年間共通テーマについて,問題提起と資料紹介のための導入講義を行います.今年度の年間共通テーマは「文化のレトリック」です.導入講義は田島先生が担当します.第4回は,講義の補足や質疑応答の時間を経て,受講者は三つのクラスに分かれ,演習形式の授業にはいります.第5回からは,各クラスで,年間共通テーマの枠内で具体的なテーマを選び,受講生主体で調査・研究を行います.一定の準備期間を経て学期の後半にはクラスの中で報告と討論を行います.これらは期末の合同発表会の準備を兼ねるものです.合同発表会では,3クラスの受講生とコースの教員が参加して質疑応答および「評価シート」による相互評価が行われます.以上の過程で各担当教員から,テーマの絞り方,資料の探し方,報告のまとめ方,口頭報告や討論のし方などについて様々に指導が行われるはずです.ですが,調査・研究,報告,討論のいずれも,あくまで受講生主体で行われるのだと考えてください.以下は年間共通テーマと導入講義についての説明です: 文化は,ボクらの認識や行動を可能にする手がかりであり足がかりである.ことばや表象(シンボル,絵,身振り)などの文化は恣意的な存在だが同時に制約でもある.ボクらは猫をみて「ネコだ」と言って情報を伝える.「ネコだ」という音を聞いてボクらはあの小型のほ乳類を思い浮かべる.つまりボクらは「ネコ」という記号で猫を表現することができる.音でモノを代用できるってのは大事なことだ.さて,表現するものと表現されるものの間には,それぞれの社会の中で,えらそうなことばを使えば「恣意的」,つまり「自由な」,つまり「取り替え可能な」関係があるような気がする.フランス人は「シャ」という音を聞いて,日本語で「ネコ」と呼ばれるほ乳類を思い浮かべる.つまり「ネコ」は取り替え可能な音だってことになる.でもボクらは日本語の中にいる限り「ネコ」を他の音に取り替える自由は与えられていない.今日から猫を「イヌ」と呼ぶと決心しても誰もつきあってはくれないだろう.自由に取り替え可能でありそうで実際には取り替えることはできない制約としての記号について考察してみよう.
キーワード
共同調査,口頭報告,討論,相互評価,文化のレトリック
関連科目
注意
この科目はコース所属の2年生と3年生(以上)が受講します.前期は2年生と3年生(以上)との混合クラス,後期は2年生中心のクラスになります.前期は(火)1・2講時と(水)5・6講時に開講されますが,どちらの時間のどのクラスで受講するかは,コースで指定します.3年生は2年次前期に受講した曜日とは異なる曜日のクラスに配属されます.(後期は,(水)5・6講時のみの開講となります.)受講生が主体となる演習ですから,毎回出席し,報告(準備)や討論に積極的に参加すること.3年生には,2年生をリードする役割も求められます.4月の最初の回(8日・9日)は休講とし,そのかわりに2・3年生合同の「コース・ガイダンス」を実施しますので,必ず出席すること.
目標
1. | テーマの選定,資料の収集・調査,情報の整理と口頭報告,討論などを不足なく行えること. |
計画
1. | 第1回 |
2. | 第2回 |
3. | 第3回 |
4. | 第4回 |
5. | 第5回-第6回 |
6. | 第7回-第9回 |
7. | 第10回-第14回 |
8. | 第15回 |
評価
口頭報告の準備とプレゼンテーションの充実度,討論への参加の程度などの観点から総合的に評価します.
再評価
行いません.
教科書
特定の教科書は用いません.
参考資料
授業の中で随時,紹介します.
連絡先
備考
08年度前期に開講.