ヨーロッパ歴史·社会論III
准教授・今井 晋哉
2単位
目的
本科目は,西洋近現代史あるいはドイツ史の総花式の叙述を目的とするものではない.歴史の流れを時代順にマクロ的に辿りながらではあるが,主眼はあくまでも下記「概要」に挙げた諸問題の考察に置かれる. 特に20世紀前半のドイツ史は今日,異文化間の接触や交流のあり方を考える際,一つの巨大な反面教師の役割を果たすであろう.また,「国民国家」や人種主義の問題性は,今日なお決して無視できない重みをもつと思われる.
概要
「国民国家」とナショナリズム,帝国主義,人種主義などの問題性の考察―19世紀後半∼第二次世界大戦期のドイツ史を中心に
キーワード
国民国家,ナショナリズム,帝国主義,人種主義
注意
ドイツ史を含む西洋近現代史に関心のある人ならば,誰でも歓迎される.ドイツ語の知識は特に必要ではない.
目標
1. | 近現代史上のいくつかの重要な事象や問題について,歴史的なパースペクティヴをもって多面的に捉えられること.そして,自分が学習したことについて,明快で論理的な文章によって表現できること. |
計画
1. | 最初の数回は,特に19世紀-20世紀前半の西洋史を理解する上で重要だと思われる分析視角の中から「国民国家」の創出あるいは「国民」形成の問題をとりあげ,話題をドイツ史に限定せずにヨーロッパ近代史の一つの特徴を浮き彫りにすることを試みる. |
2. | 続いて,国家と社会との関係,「国民国家」ないし「民族共同体」と「異分子」との関係を軸に,「マイノリティ」=疎外,差別,迫害される人々の状況に目配りしつつ,ドイツ史を中心に19世紀末葉から第一次世界大戦期(1914-18年),ワイマル共和制期(1919-33年)を経て,ナチス支配の時代(1933-45年)までを視野に入れ,特に帝国主義列強間の植民地獲得競争,総力戦体制の構築とナショナリズムの急進化,ワイマル共和国の崩壊=ナチス台頭の背景,優生思想とナチスの人種主義,ナチ体制にとって「有害無益」な存在(浮浪者,売春婦,同性愛者,「障害者」,シンティ·ロマ,ユダヤ人等々)の排除·抹殺,といった問題をとりあげて論じたい.また,以上のような問題の分析·叙述を通して,「国民国家」とナショナリズム,優生思想とナチス人種主義などの問題をとりあげることの今日的意味についても考えてみたい. |
3. | 時おり映像資料も使用する. |
4. | より詳しいことは,開講時に説明する. |
評価
主として期末のレポートによるが,授業への参加状況も参考にする.
再評価
場合によっては行う(レポート再提出).
教科書
特定の教科書は用いない.教材や資料は授業時に配付する.
参考資料
毎回の授業時に紹介する.
連絡先
今井(1319, 088-656-7139, shi-imai@ias.tokushima-u.ac(no-spam).jp)
- オフィスアワー: 月曜日 14:45-16:00
備考
隔年開講.08年度は開講されない.