2008年度 総合科学部 自然システム学科 物質·環境コース 学部課程 — 2年(前期)

2008年度 総合科学部 自然システム学科 生命·環境コース 学部課程 — 2年(前期)

物質構造解析学

准教授・沼子 千弥

2単位

目的

固体物質の性質は構成元素の配列,すなわち結晶構造に大きく影響されるため,物質科学や地球科学を学ぶうえで,原子や分子のレベルからの物質の状態や結晶学に関する知識が必要である.本講では,物質を構成する元素の相互作用の種類や結合様式について解説を行い,それらが物質の性質とどのようにリンクしているかを簡単に紹介する.また物質の結晶構造を求める上で最も一般的に利用されているX線回折やX線分光法についてその原理と手法を解説する.

概要

固体物質に関する物質科学的な基礎知識とX線回折を利用した結晶構造解析法の解説

キーワード

結晶,結合様式,X線回折,物性,物質科学

注意

地球科学だけでなく,物理学や化学など物質をとりあつかう学問分野にまたがる一般的な内容の講義になるので,地球科学,物理学,化学 および 生物学を主専攻とする学生の受講を広く受け入れる.場合によっては受講数の調整を行う.

目標

1.物質形成に関わる化学的·物理的相互作用を理解すること
2.結晶に関わる基本的概念と取り扱いを理解すること
3.電磁波と物質の相互作用,特にX線回折という現象を理解すること
4.X線回折法を中心としたX結晶構造解析の原理と手法を理解すること

計画

1.固体物質の分類 (純物質vs混合物,単体vs化合物, 鉱物の定義)
2.物質の状態 (気体·液体·固体,結晶と非晶質)
3.物質形成に関わる化学反応(1)酸·塩基の定義とHSAB
4.物質形成に関わる化学反応(2)錯形成,酸化還元,沈殿反応
5.共有結合·イオン結合·配位結合·金属結合
6.結晶の概念,最密充填様式,金属結晶
7.空間格子と対称の要素,対称操作
8.晶系,格子定数,ブラベー格子
9.ミラー指数,面間隔
10.電磁波と物質の相互作用(回折,散乱,吸収,蛍光等)
11.X線の発生原理,特性X線と連続X線
12.電子によるX線の散乱,原子によるX線の散乱
13.結晶によるX線回折(1) ブラッグの回折条件
14.結晶によるX線回折(2) 原子散乱因子,消滅則等
15.X線回折による結晶構造解析(1)
16.X線回折による結晶構造解析(2)

評価

出席,演習への取り組み姿勢やレポート,試験の結果から総合的に判断して評価する.

再評価

原則として行わない.

教科書

教材あるいは参考書については,講義時間に紹介する.

連絡先

沼子(3202-2, 088-656-7265, numako@ias.tokushima-u.ac(no-spam).jp)
オフィスアワー: 木曜日12時∼13時